○ヌナには敵わない2 ページ15
そうしてる内に順番が近づいたようだ。
遠くでスタッフから声がかかる。
メンバーが続々と舞台袖に集まり出す中で、僕はまた緊張がぶり返してしまっていた。
(なんで!自分がぶり返してどうするんだよ〜!)
そう思っていると、くん、と裾を引きとめられる感覚に振り返った。
「僕の赤ちゃんも緊張ほぐさないとね」
「は、」
ハルの顔が近づいて、何も言う間もなく頬に伝わる柔らかい感触。
それがハルの唇だと理解したのは、離れた彼女がすかさず僕にデコピンをかました時だった。
「…は!?なに、痛い!!」
「あはは!ほぐれた?」
「ほぐれるわけないだろー!!ハルのぱぼ!」
「おかしいな、スングァンにはこれが効くってハニに聞いたんだけど」
あの横暴な女神はなにを吹き込んでいるんだ。
呆然とする僕にしてやったりのハルはそう言うと颯爽と僕の横を駆けていく。
(敵わないのはこっちのセリフだ…)
思わずハルの唇の触れた頬に手が伸びる。
メンバーにじゃれる後ろ姿を見つめ、緊張はほぐれるどころか頬に残った感覚にそれどころじゃなくなってしまったのだった。
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作者名:un | 作者ホームページ:http://privatter.net/u/1230un__
作成日時:2016年5月20日 23時