吾輩はヌナでありヒョンである (ページ14)

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○ヌナには敵わない1 *SG side ページ14

今日はAdore Uのミューバン収録。

そしてセブンティーンのメインボーカルでもあるこのブスングァン、まだ割と緊張してたりする。

『お～、スングァナ』

「ヒョン～！」

へら～っと近寄ってきたハルに嬉しくなって駆け寄る。
ハルはといえばなんだなんだと驚いた顔をしたがすぐ笑顔で抱きしめてくれる。

『今日の衣装も似合ってるね～スングァン』

かっこいいよと笑うハルは今日も可愛い。うん、チェックのシャツがよく似合う。
ヨジャグループにいてもきっと目を引くであろう彼女は、僕たちナムジャグループの欠かせないメンバーだということが誇らしい。

「ハルも可愛い、あ、かっこいい！似合ってる」

『あっ！こら間違えたなこの～！すんぐぁにはかわいいでちゅね～？』

「赤ちゃん扱いするのやめ～！」

『あはは、かわいい赤ちゃんですこと～！』

そう言いつつ褒められると照れ隠しなのか、いつもハルは僕の頬をむにっと引っ張るはお決まりだ。
けど、男として毎度毎度これをされるのは内心ちょっと嫌だけど、嫌とは言えないし言う気もない。

『モチモチで羨ましいよスングァニ』

「ヒョンに触られるからね、万全の状態にしておかないとじゃん？」

『あはは、キメ顔やめて！笑う～！負けないよう頑張らなきゃ』

「もー！ハルはそのままでいいよ～！」

女の子達の会話みたいにくねくねしながら話すのも楽しい。
ヌナでありヒョンでもあるハルを呼び捨てに出来るのもノリでカバーだ。

『僕のアンパンマンちゃんは緊張してるの？』

「してない！…ってもばれてるんでしょ」

『お～やっぱりみんな緊張してるからね～。けどメインボーカル様たちは尚更だ』

ハルが指を差す先、見るとソクミンがメンバー数人と緊張の面持ちでいる。
その様子を見つめるヌナは、この空気を噛みしめるように唇を結ぶ。
ふと目線を落とすとヌナの手が震えていた。

背丈はあまり変わらない彼女の腕はやはり女の子のそれで、男の僕より細い。
無意識の内に、僕はその腕を掴んでいた。

『スングァニ？』

「ハルも緊張してんのバレバレ」

『…ばれてましたか』

「バレバレだって。も～、僕の方が緊張してるのに～ハルのせいで狂っちゃった」

ハルの笑顔が見たい。
変顔して見せれば腹を抱えて笑ってもらえれば嬉しい限りだ。

『やめて～！笑うとメイク崩れる～！ブーの多彩な特技には敵わないなあ』

「お褒めにあずかりまして光栄です」