吾輩はヌナでありヒョンである (ページ11)

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○オタクヌナ3 ページ11

我らがプロデューサー様には後で謝ろう。
そう思いつつホクホクしながらBDをセットしていると、いつの間にかカップを両手に持つソクミンが隣に立っていた。

「ヌナ～、ココア淹れてきた！」

『さすがソクミナ、気が利くかわいこちゃん』

湯気のたつカップを受け取りながら2人でソファーへと腰を沈めた。
そして、いつも鑑賞の前にある決まりごと。
日本語が堪能ではないソクミンにパッケージを見せながらあらすじとキャラクターを説明する。

『この子とこの子が実は兄弟で、この女の子がヒロインだね』

「ヨンヒ？」

『そうそう、ヨンヒ』

「僕この人かっこ良さげだと思うな～！」

『あっ！ソクミン、それ私と同じね！』

「うっそ！ヌナも？！いえ～い！」

まだまだ拙い韓国語で説明する私と、日本語がうろ覚えなソクミン。
お互いカバーしながら話を進めていくこの感じがたまらなく楽しかった。

『…あ～、ソクミンの淹れてくれたココア飲みながらアニメ鑑賞できるのは最高』

「嬉しいこと言ってくれる～！それでさ、このアニメって漫画とかハングル版って出てたりするの？」

『お、確かそろそろ発売じゃなかったかな～、興味もってくれたの？』

かれこれ何度目かのアニメ鑑賞に付き合ってくれるソクミンは、たまにこうしてノッてくれる事がある。

前はジフン、今回はソクミンが私に付き合って言葉のわからない、雰囲気で見ているアニメの原作を読みたがってくれるのがすごく嬉しい。
これから漫画のために財布の紐が緩むな～とホクホクしながらケータイで発売情報を検索していると、ふいに肩に重みがかかった。

『ん？』

「すー…すー…」

『あれ、ソクミン寝てる…』

時計を確認するとすでに深夜を回っていた。
そおっと起こさないよう、彼の手に握られた空のカップをテーブルに置き、風邪を引かないよう2人で掛けていた毛布を多めにソクミンに掛けてやる。

(練習で疲れてるのに付き合わせちゃまずかったかな)

『あ、…おっとっと』

私の肩からずるずると体勢が崩れていくソクミンをソファーから落ちないように誘導して膝枕する。

大きな弟だなあとしみじみ思う反面、この後どうしようかとも考える。

テレビは消したし、メンバーもこの時間だ、みんな寝てしまった可能性もある。

下ですやすやと眠るソクミンの短く柔らかい髪を撫でながらこのまま寝てしまおうか、
そう思った矢先だった。