【一次創作】私の忘れ物達 (ページ4)

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第一話前編ページ4

トクトクと規則的な音が聞こえる。

それはまるで生まれてきたばかりの赤子をあやすような優しい音。

さあ、目覚めなさい。

今日が貴方の×番目の誕生日。

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「どこだろう、ここ」

目覚めると僕はそこにいた。

朦朧とする意識の中、重い瞼をゆっくりと開けるとコンクリートで作られた地面の上にに小さな人間の手らしきものが見えた

これは、僕の手？

そういえば身体全体がひんやりと冷たい。そうか、僕は横たわっているのか。

冷たくて、無機質な、コンクリートの上に。道理で寒いわけだ。毛布の一枚くらい、あればいいのに。

ぐ、と力をいれて起き上がる。

辺りを見渡してみると、そこには何もなかった。

コンクリートの床以外には天井も壁もなく(見えないといった方が正しいのかな？)ただ深い闇が広がるだけだった。

「本当にどこなのかな。怖い。怖いよ。誰かいないの？ねえ！」

恐怖に怯え助けを求める僕の心とは裏腹に、僕の声はこの空間を虚しくこだまするだけだった。

「本当に誰もいないの…？」

途端に強い孤独感が僕を襲う。両手が小刻みにふるふると震えて、僕はその場にうずくまる。ああ、何てことだ、僕は独りなんだ。

その時、目の前の方向からチカチカ光るものが僕の瞳に映った。

なんだろう、あれは。

それか一体何なのか考える間もなく、僕は立ち上がる。

早くこの暗闇から抜け出したい。何もないと思っていた世界に一筋の希望が見えた気がして、僕は必死に光り輝く何かに向かってゆっくりと足を進めた。