【一次創作】私の忘れ物達 (ページ16)

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第四話part3 ページ16

「あら！思ったより幼い顔をしているのね！」

アシンメトリーな髪型をした女性が僕を見て笑いかけてくる。

「えー！そうでもないんじゃない？まあ、おれが一番美形だってことにはかわりないけどねえ～」

その女性の後ろから、またひらひらと派手な服装(マント…？)をした男の人がぴょこんと飛び出てきた。

男の方はずいずいと近づいてきて、僕の前に自分の右手を差し出してくる。
遠慮がちに出そうとするとすると、ぎゅうとその手を掴まれる。僕が彼の顔を見ると、彼はにっこりと笑っていた。

「おれ、ミア。ヨロシクー」

「よ、よろしく…！」

それに続けて、もう一人の女性も、ハート型の瞳をキラキラと輝かせながら握手をしてくる。

「私はセレットです、よろしくね！ねえ、貴方商店街で飢え死にしかけてたって？一体どんなことがあったんです？よければ聞かせて…」

見かけによらず、子供のように無邪気に話しかけてくる彼女の質問は、突然パンパンと手を叩く音によって遮られた。

台所から戻ってきたクロとういだった。
ういは持っていた小さな器をたくさんのせたお盆(なぜだか、ぐらぐらとゆれている)をゴトンとテーブルの上に置いたあと、端の席に座った。

「はいはい、そこまでですよ。デザートのプリン、持ってきましたから。それに一気に喋られると、Aくんが困ってしまうでしょう。」

ハッとしたセレットは、申し訳なさそうに眉を下げ、こちらに向かいなおす。

「す、すみません。つい…でもでも、(名
前)くんと仲良くなりたくって！」

僕はあわてて首を振った。

｢気にしないで…えーと、セレット｣

すると、セレットまたキラキラした笑顔にもどった。
その顔を見て僕も安心した。

「それで、まだ来てない人がいるのはどうしてですか？」

夕飯より先にプリンを頬張っていたミアが顔をあげた。

「イチルは体調悪いって言ってたよー。ファルはクラヴィーを部屋から連れ出しててぇ、夜久とヒースは知らなーい」

その報告にクロは呆れたように肩を落とし、はぁと大きくため息をつく。
ミアの言葉になにかだめなことでもあったのだろうか。

「まったく、あの二人はどこをほっつき歩いて…んん、ファルくんたちはいいとして、イチルさんは心配ですね。」

「あ、なら私が様子を見に行きますよ」

クロがお願いしますと言うとセレットはパタパタと2階に向かって行った。