色恋に興味がない男の話【不死川実弥】

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「宇髄はよォ……隊士から告白とやらをされたことはあんのかァ？」

「ねぇなぁ。柱に告白なんて、相当肝の座ったやつじゃないと無理だろぉ？」

「…そーかィ」





あの女隊士が、肝の座った女にはどうも見えないが。宇髄がそう言うなら、そうなのかもしれない。


俺は、先日の出来事を話してみた。





「女から告白とは派手にうらやましいな。で？不死川はなんて答えてやったんだぁ？」




俺ァ色恋とやらには疎い。

そんなことを考えている暇があるなら鍛錬をしたほうがいいと思うタチだ。

だからこの手の悩みを解決する術など知らねぇから宇髄の元へと来た。この男以上の適任はいないと思う。








「"俺は色恋には興味がねェ"って」

「はぁ？正気か？あーぁ、可哀想、その子」





ンな犯罪者を見るような目で見ンじゃねェ…。俺は本当のことを言ったまでだ。だったらどう答えんのが正解だったのかが知りたい。



これまでに、陰で「不死川様かっこいい」とか「不死川様ってあぁ見えて優しいよね」とかそんな女の話し声を聞いたことは幾度かある。

でもあんなふうに面と向かって「好き」と言われたのは初めてだった。








「不死川はその子に気はねぇのかよ」

「気があるも何も、2〜3回任務が一緒になったことがあるだけの女だァ。なんの感情もねぇだろ」

「へぇー？」




そう、本当にそれ以上の感情は何もない。そいつのことは名前と顔くらいしか知らない。




なのに………、




「今にも泣きそうな顔しながら走って行きやがったァ…」

「そりゃぁそうなるだろうな、あー可哀想」

「そんときの顔が、頭に纏わりついて離れねぇ…」

「……………くっ、」

「寝ても覚めても、あの女がチラつきやがんだァ」

「……………お前、」

「宇髄ィ、これはなんだァ…俺はあの女に呪われてんのか？生き霊ってやつかァ？」

「……お前がそこまで初心(うぶ)だとは思わなかったわ…流石に引くわ…」

「ア"ァ？！」








くっそォ。なんの解決にもなりやしねぇ。
宇髄の野郎なんかに話を聞くんじゃなかった。


にやにやと気持ち悪い笑みを浮かべながら「また続報楽しみにしてるわ！」なんて大声でほざく此奴のもとを去った。

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