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『組織が壊滅するまでだ。』








はぁ…… 私はため息をついた
 



「降谷さん? 組織はとても大きな力を持っています。組織が完全に壊滅するのは、ほぼ0(ゼロ)に近いですよ?」




『そうだとしても…』



降谷さんは意を決したように言った。







『僕は命に変えてもこの国を守らなくてはいけないんだ』




「……」




降谷さんには強い意志があった。

窓から漏れた赤の夕陽が降谷さんの横顔を照らす。





「…そうですか」




『まぁ、そういうことだ。

とりあえず話は全て終わった。帰るぞ。』




「あっあの、帰るって…?」



降谷さんはそんな私の問いかけを無視したまま着々と帰る準備を進めていた。




『風間!! そろそろ僕たちは帰るからな。』




風見「お疲れ様です。降谷さん。」




「あっあの!!」




何度呼びかけても反応しない降谷さんに私は少し苛立ち、思わずスーツの裾を引っ張った。




『ん、なんだ?』



「なんだ、じゃないですよ!!
何度呼びかけてもスルーしてたじゃないですか…」




『あぁ、すまんな。少し考え事をしていて…
それでなんだ?』




「だから、帰るぞ ってどこに帰るのですか?」




『だから、今から僕の家にいくんだ。』




「は?」




『安心しろ。荷物は全て明日まとめて業者に運ぶように頼んでる。』




「いや、そうゆう問題じゃなくて…」




『何が問題なんだ?ん?』




降谷さんは小動物のようなクリクリした目で私の顔を覗き込んだ。



「っ?!」



『早く行くぞ〜』




「はーい…」
(あんな顔で言われたら断れないじゃん…)



冷たい秋風が私の頬を撫でる。



「う〜…寒っ…」



私はこの世で苦手なものが3つある。

一つ目。ミミズ。あの紐状のグチャグチャした物体を見ただけで寒気がする。

二つ目。お化け。化学で証明できないものは無いと考えているがどうしても怖い。

そして三つ目。寒さ。私はとてつもない寒がりで、冬という季節が大嫌いだ。




りんごのような真っ赤で冷たい私の頬をあたたかい何かが包み込む。



『今日は冷えたからな。これ羽織っとけ』




あたたかい何か、と言うのは降谷さんのオーバーだった。




「あっ、ありがとうございます…」



この人、本当はすごい優しい人なのかもしれない。

そう思った。



紺色と赤色のグラデーションの秋空が私と降谷さんの後ろ姿を優しく照らしていた。

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ぱるむ - 復活待ってます!すごく面白かったです! (2021年2月10日 14時) (レス) id: 4fbbe91aff (このIDを非表示/違反報告)
カナメ(プロフ) - 桜 夢亜羅さん» いえいえ!いつも更新楽しみにしております!お身体に気を付けて主様のペースで無理ない更新を行って下さい!!失礼しました! (2020年9月22日 22時) (レス) id: 0555cdda7c (このIDを非表示/違反報告)
桜 夢亜羅 - カナメさん» わざわざご丁寧にありがとうございます!!筆者である私がヒロインの相手の名前を間違えるなんて…とんだご失礼すいませんでした。しっかり訂正させてもらいます!! (2020年9月22日 20時) (レス) id: 8d1ff1c393 (このIDを非表示/違反報告)
カナメ(プロフ) - 夜遅く失礼します!14話の「イケメン店員安室透」という台詞の「とおる」が「徹」になってます!正しくは「透」ですかね,,,失礼しました! (2020年9月21日 23時) (レス) id: 0555cdda7c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:桜 夢亜羅 | 作成日時:2020年9月13日 21時

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