先生(4)リクエスト ページ28
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私が学校に行かなくなって3ヶ月がした頃、お母さんがさすがに中学生だから勉強はしないといけないと言うことで、知り合いの大学生に勉強を教えるようにと頼んだようだ。
学校で嫌なことが連続で重なり、ストレスで胃潰瘍になってから学校に足を運ぶことが出来なかった。正直言って、教科書を開くことにすら抵抗を感じる。
「 A、先生来たわよ。 」
「 …あ、こんにちは。Aちゃんだよね?俺、板倉滉って言います。これから勉強を週3で教えに来るよ。 」
どんな人が来るかと思えば意外にふわふわとした、見た目から優しさが滲み出るような人で一安心した。とにかく勉強しろということで、今は板倉さんと部屋に2人きり。
「 よし、んじゃあ早速していこうと思うんだけど…Aちゃんの得意の教科ってなに?…あ、教科書とか見たりするのが苦しかったらゆっくり慣れていこ。気にしないでいいよ。 」
「 …ありがとう、ございます…。得意なのは国語とか、歴史とか、ですかね。 」
「 おお!歴史出来んの!?歴史って出来ない人はとことん出来ないからすごいよ!じゃあ苦手な教科は? 」
「 …数学、とか。理科は平凡な感じ、です。 」
「 そっか〜!数学ムズいもんね〜俺もあんま出来なかったし。 」
彼の口から出るのは、私が話すことを決して否定から入ることなく、むしろそのままでいいんだという自己肯定感を上げてくれるような言動ばかりだった。
そして勉強の教え方も上手くて、3ヶ月で止まっていた勉強だって遅れを取り戻せそう。
「 Aちゃん頭良いよね?だってめっちゃ理解早いからさぁ?俺が中学ん時何度説明されても頭サッカーのことか晩飯のことしかなかったもん。 」
「 ふふっ、そうなんですか… 」
「 お、やっと笑ってくれた〜めっちゃ可愛いじゃん。やっぱ女の子は笑顔が1番よ。 」
私が過ごしやすいように冗談を混じえたり、笑顔多めで話しかけてきてくれたりと、板倉さんには感謝してもしきれない。「笑顔が1番」とくしゃっとした笑顔でそう言われ、下がってばかりいた口角が自然と上がっていくのが感覚でわかる。
「 …今は苦しいだろうけど、その今が過ぎればAちゃんにとって幸せで、毎日が楽しくて仕方ないって、生きていて良かったと思う日が来る。いつでも逃げていいからしっかりと向き合っていこう。 」
「 …はい。 」
「 とにかく今はのんびりしよ。 」
その言葉に、救われた気がした。
end
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ゆりこ(プロフ) - 続編是非是非お願いします🙇♀️💓 (2023年3月21日 0時) (レス) @page49 id: 77cf571e3a (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - こんばんは。続編、ぜひお願いします。面白いので。。 (2023年3月20日 20時) (レス) id: d7601bed17 (このIDを非表示/違反報告)
ヒョナ(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます📔♡ 続編希望です!!リクエストもまたさせていただきたいです☺︎ (2023年3月20日 19時) (レス) id: 915f0aebf7 (このIDを非表示/違反報告)
ミミミのミ(プロフ) - 続編希望です…❥🫣リクエストも思いついた時に送らせていただきたい所存です(p_x)❕ (2023年3月20日 19時) (レス) @page49 id: 2bc7b134a4 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - ミーこさん» わざわざお返事ありがとうございます。ミーこさんの文章は中毒性があり、続きを読みたくなります。本当にお金出して依頼したいくらいお気に入りです。これからも手が空いた時で良いのでよろしくお願いします。 (2023年3月15日 21時) (レス) id: d7601bed17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミーこ | 作成日時:2023年1月15日 13時