救世主（8）リクエスト ページ42
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「 あんたなんか産むんじゃなかった。 」
確かに今、そんな言葉が母の口から出た。
…なんでそんな事言うの？
抱えきれなくなった思いは涙となって溢れる。私の涙に気づいた母が、ハッとした顔をして「ごっ、ごめん！今のは違うの！言葉の綾ってやつで…」と言ってきた。
母の顔を見れば、先程言われた鋭い言葉は本心ではないとわかるけど、一旦傷ついた心が戻るわけもない。今この家にいるのが辛くて家を飛び出した。
走って、走って、走る。
走れば多少はこの苦しみから開放されると思ったけど、全然そんなことはなくて頭の中では「あんたなんか産むんじゃなかった」なんて言葉が繰り返し流れる。それが辛くて涙が溢れて止まらない。
「 っ、ふ、うぅ… 」
走った先にあった公園のベンチに座って、涙を流す。寂しくて苦しくて、涙は止まることを知らないようだ。
「 君、大丈夫？ 」
そんなとき、優しい声が上から聞こえた。
「 …あっ、怪しいものじゃあらへんよ！？こんな時間なのに女の子が1人で泣いてるから心配でしゃーなくて。なんかあったん？俺でよければ愚痴でも何でも聞くで！ 」
関西訛りな言葉が心地いいお兄さんは、慌てたかと思うと心配な声を出して、すると元気な声を出す。コロコロと変わる口調にふふっ、と笑みがこぼれた。
私が小さく笑うとお兄さんは「笑っ…！？俺なんかおかしいこと言った？」と不安になっている。その時は辛いことを忘れることが出来て、初対面の異性相手に安心してしまう。
「 …マジか。言葉の綾って言ってもその発言は許されるべきちゃうな。それは家飛び出してきて正解やわ。お母さんも頭冷やしてるやろ。 」
お兄さんは私のことを肯定してくれて、この世に生まれてきて良かったとそう思えた。辛かったことを吐き出すとなんだかスッキリとしてきて、いつの間にか涙も止まっていた。
「 というか！もう10時やで？お母さん外出て探してるんとちゃう？女の子が1人じゃ心配やわ。スマホとか持ってきたん？ 」
「 …はい、あります。 」
「 良かった。お母さんに連絡して一緒に帰り。 」
優しく微笑んだそのお兄さん。感謝してもしきれないこの思い。言葉にして伝えるには大きすぎた。
「 本当にありがとうございました。知らないガキの愚痴聞いてくれるなんてお優しいんですね。 」
「 いやいや、困った時はお互い様やろ？ 」
そう言って笑う笑顔が眩しかった。
end
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ゆりこ(プロフ) - 続編是非是非お願いします🙇♀️💓 (2023年3月21日 0時) (
レス) @page49 id: 77cf571e3a (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - こんばんは。続編、ぜひお願いします。面白いので。。 (2023年3月20日 20時) (レス) id: d7601bed17 (このIDを非表示/違反報告)
ヒョナ(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます📔♡ 続編希望です！！リクエストもまたさせていただきたいです☺︎ (2023年3月20日 19時) (レス) id: 915f0aebf7 (このIDを非表示/違反報告)
ミミミのミ(プロフ) - 続編希望です…❥🫣リクエストも思いついた時に送らせていただきたい所存です(p_x)❕ (2023年3月20日 19時) (レス) @page49 id: 2bc7b134a4 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - ミーこさん» わざわざお返事ありがとうございます。ミーこさんの文章は中毒性があり、続きを読みたくなります。本当にお金出して依頼したいくらいお気に入りです。これからも手が空いた時で良いのでよろしくお願いします。 (2023年3月15日 21時) (レス) id: d7601bed17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミーこ | 作成日時：2023年1月15日 13時
