寂しくなんかない。（10） ページ26
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「 もう拓実といられないや。……さようなら。 」
そう言ってモナコから日本へと1人で帰って行ったA。
心にぽっかりと穴が空いたような気分だ。
Aがいなくなって初めての朝。家事などは全てAに任せていたため、当たり前だが俺がやる。ただ少し前の生活に戻るだけ。何不自由はない、きっと。
そう自分に言い聞かせて、まず初めに朝食を作ってみた。
フライパンに火をかけて、油を引いた。けれど、何を作っていいのかもわからずとりあえずスクランブルエッグを作った。
「 …うわっ、くっついてもうた。Aー！フライパン汚してもうた…って、出てったんやった。 」
何かをやらかした時にふと出てくるのはやはりAの姿で、俺には「もー！だから強火で料理するなってあれだけ言ったのに！」と怒っているAが見える。
「 はあ…まあええわ、後でやろ。それより飯。 」
そう言い、焦げたぐちゃぐちゃのスクランブルエッグを口にする。一口食べて瞬間的に呟いた。
「 …まっず。なんやこれ、食えたもんじゃないな。 」
美味しくなかった。これは俺の技術からなのか、気持ちからくるものなのかどちらかはわからないが、とにかく美味しいと感じることは出来なかった。
家にいてもAの面影がちらほら出てくるので、ドライブをすることにした。運転席へと乗り込む。久しぶりのオフなのでオシャレなんかもしてみたりした。
けれど、何かが物足りない。いつもより視界が開けた右側にムズムズして運転に集中出来ない。
「 …ドライブもやめよ。 」
そう呟いて家へ戻ると、Aを連想させるものを全てゴミ袋へと詰め込むことにした。
洗面所にある2本並んだ歯ブラシ。ピンクの歯ブラシを手に取って、ゴミ袋へと投げ込んだ。Aが愛用していたヘアケアグッズ、Aが俺にプレゼントしてくれた服など、全てゴミ袋の中に入れた。
「 …意外にあるもんやな。 」
大きいゴミ袋3つ分となったAの抜け殻。あとは捨てに行けばいいだけなのに、なんだかこのゴミ袋たちを外へ持っていくのが億劫だった。
そして1つ、どうしても捨てられないものがあった。Aに初めてプレゼントしたお揃いのネックレス。
「 え…これ、私に？……ありがとう。 」
そう言って嬉しそうに微笑んだAの顔が忘れられない。
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ゆりこ(プロフ) - 続編是非是非お願いします🙇♀️💓 (2023年3月21日 0時) (
レス) @page49 id: 77cf571e3a (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - こんばんは。続編、ぜひお願いします。面白いので。。 (2023年3月20日 20時) (レス) id: d7601bed17 (このIDを非表示/違反報告)
ヒョナ(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます📔♡ 続編希望です！！リクエストもまたさせていただきたいです☺︎ (2023年3月20日 19時) (レス) id: 915f0aebf7 (このIDを非表示/違反報告)
ミミミのミ(プロフ) - 続編希望です…❥🫣リクエストも思いついた時に送らせていただきたい所存です(p_x)❕ (2023年3月20日 19時) (レス) @page49 id: 2bc7b134a4 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - ミーこさん» わざわざお返事ありがとうございます。ミーこさんの文章は中毒性があり、続きを読みたくなります。本当にお金出して依頼したいくらいお気に入りです。これからも手が空いた時で良いのでよろしくお願いします。 (2023年3月15日 21時) (レス) id: d7601bed17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミーこ | 作成日時：2023年1月15日 13時
