自己肯定感と給料が低い私には（10） ページ46
.
「 結婚おめでとう！ 」
「 ありがとう〜 」
そう言って幸せそうに笑う新郎は私のずっと好きだった人。彼の隣で幸せそうに笑う新婦はとても綺麗で、私なんかが嫉妬するなんて言っていい人じゃなかった。
「 おぉ！A！久しぶりだな！ 」
「 久しぶりです。結婚、おめでとうございます。幸せになってください！ 」
「 お前ならそう言ってくれると思ってた。ありがとな！ 」
そう言って笑う彼の顔が心の底から幸せそうで、勝ち目はもうとっくの昔にないんだとそう痛感させられた。
惨めになって泣きながらホテルの高そうなご飯を無心で食べあさっているとき、隣から啜り泣く声が聞こえてギョッとしながら声のする方に顔を向ける。そこには、私好みのイケメンが酷い顔を晒しながら泣いている姿があった。鼻水も垂れていて正直引く。
「 …大丈夫ですか？ 」
そういいハンカチとティッシュを手渡すと、イケメンは突っ伏していた顔を上げ、ぺこりと頭を下げた。
「 ほんま、すみません。…ちょっと自分の話していいすか？ 」
「 …いや、全然いいですよ。 」
彼の話を聞く限り、私と同じ境遇だそうだ。新婦にずっと恋焦がれていて、でもいつの間にか結婚することになりその結婚式に呼ばれて…だそう。
変に親近感が沸いた私は、「私も同じです」と呟いていた。
「 あの、名前は？ 」
「 あ、南野です。お姉さんは？ 」
「 Aです。なんか仲良くなれそうじゃないすか？ 」
「 ですよね！思いました！新しい恋人ができるまでの間、同盟組みましょ。 」
そう言って笑った顔がとても可愛らしくて、きゅんと胸が高鳴った。そういった流れで連絡先を交換し、少しの友達期間を経て私たちは付き合うことになった。
そして彼はサッカーで成功し、ザルツブルクに入団するためオーストリアへ、私は日本に留まる。
「 …私もう23か。 」
結婚のビジョンはまだ見えないけど、さすがに3年間も日本に1人放っておかれるのは寂しい。それに、オーストリアの綺麗な金髪お姉さんに骨抜きにされているのかもしれないと考えてしまう。それでも彼に寂しいと伝えるのはどこか苦手というか恥ずかしくて、連絡もまともにとっていない。
スマホを取りだして、「最近どう？」とどこかよそよそしいLINEを送る。
「 あー、ダメだ。今サッカーでノリノリな拓実なら、もう綺麗な女はべらせてるかもしれない。 」
会いたい。この四文字を伝えられずにいた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 329人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
guppy __(プロフ) - 続編楽しみにしてます🥺 (2023年1月15日 14時) (
レス) @page49 id: 176c8baa35 (このIDを非表示/違反報告)
あらの(プロフ) - 続編是非作っていただきたいです！ (2023年1月15日 13時) (レス) @page49 id: 3067e121b1 (このIDを非表示/違反報告)
なな - 続編めっちゃほしいです！ (2023年1月15日 13時) (レス) @page49 id: 38b7637fef (このIDを非表示/違反報告)
イトジュン - 続編して欲しいです。更新、楽しみにしていますゆっくりで、いいですよ。 (2023年1月15日 13時) (レス) @page49 id: e586254f05 (このIDを非表示/違反報告)
課長封月X(プロフ) - めっっっっちゃ続編欲しいです涙 (2023年1月15日 12時) (レス) @page49 id: 160d503e2f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミーこ | 作成日時：2022年12月25日 10時
