. ページ17
.
トイレから出ると、目の前にあの男がいて喉の奥画ヒュッ、と鳴った。
平然を装うが、なんとしてでも家に連れて帰ろうという信念が見え見えで手が震える。
「 大丈夫だった？酔って気持ち悪くなったら言ってね。 」
無視する私の耳元に顔を近づけると、吐息混じりの声で囁いた。
「 俺と外の空気吸いに行こ 」
ぞわわわっと、よくみんなが言う「身の毛がよだつ」この意味がわかった気がする。
「 いや、もう本当に大丈夫だから 」
「 いやいや、顔色悪いじゃん。俺心配だからさ、タクシーでも拾って家連れてってあげるよ 」
そう言うと、みんなに「 Aちゃん気持ち悪いみたいだから連れて帰るわ！ 」と大声で宣言した。
みんなは「あぁ、あの男と」なんて思うかもしれないがやめて欲しい。振りほどこうとしても、がっちりと腕を掴まれていて抜け出すにもダメだった。
そんなこんなで店の外に出てしまった。
「 あっ、いたいた。ヘイタクシー！ 」
とタクシーを呼ぶ男の声。私は必死にもがくが意味もなく、「っ、拓実ぃ……」と、彼の名前を呟きながら泣いてしまった。
そのとき、私を掴んでいた男がボコォッ！、という鈍い音とともに吹き飛んだ。
「 Aっ！大丈夫か？なんもされてない？」
「 たっ、拓実ぃ…た、助けて…！ 」
拓実は停まったタクシーに「行っていいですよ」と伝えると男の方に向かった。
男の胸ぐら掴むと、お得意の負けん気でとてつもない威圧感を出す。
「 おい、お前なに俺の女に手ェ出してんねん。お前そうやって色んな女食ってきたんやろ？男なら正々堂々顔と性格で勝負せぇや。…俺みたいに。 」
そう言うと拓実の整いすぎた顔面が作り笑いをする。
男はバツが悪そうに舌打ちして拓実の手を振り払うと、小走りで人混みの中へと消えていった。
男が去ったことで彼の怒りのベクトルは私へと向かう。
「 A！お前もな、お酒の場はワンチャン狙ってくる男ばかりやから。それ覚えといて。 」
「 ごめんなさい。…でも、拓実が助けてくれるって思ってた 。 」
「 っは〜〜〜、どこでそんな可愛いこと覚えてくんの？」
拓実は私を路地裏へ誘うと、男に掴まれていた腕にキスを落とす。
私の顔を見てニヤリと笑うと、頬をするりと撫でられ、そのままキスをされる。
酸素を求め口を開けるとするりと舌が入ってくる。
「 はぁ…ここまで本気になれるのAだけや 」
そう言って笑った。
end
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 329人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
guppy __(プロフ) - 続編楽しみにしてます🥺 (2023年1月15日 14時) (
レス) @page49 id: 176c8baa35 (このIDを非表示/違反報告)
あらの(プロフ) - 続編是非作っていただきたいです！ (2023年1月15日 13時) (レス) @page49 id: 3067e121b1 (このIDを非表示/違反報告)
なな - 続編めっちゃほしいです！ (2023年1月15日 13時) (レス) @page49 id: 38b7637fef (このIDを非表示/違反報告)
イトジュン - 続編して欲しいです。更新、楽しみにしていますゆっくりで、いいですよ。 (2023年1月15日 13時) (レス) @page49 id: e586254f05 (このIDを非表示/違反報告)
課長封月X(プロフ) - めっっっっちゃ続編欲しいです涙 (2023年1月15日 12時) (レス) @page49 id: 160d503e2f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミーこ | 作成日時：2022年12月25日 10時
