其ノ拾 ページ11
「おかえりなさい、遅かったですね」
夕飯を食べていると話しかけてくるしのぶ。
「まぁ、割と遠くまで行ったようなので……」
行きは明るかったからあまり感じられなかったか、あの森からの帰り、倍に時間がかかったように感じた。日が完全に落ち森が異様な空気に包まれた頃やっと抜けて屋敷まで送って貰えた。
着くと、また明日来ると言われすぐに不死川さんは去っていった。多分任務だろう。
「どうでしたか?不死川さんと出かけてみて」
「!知ってるんですか」
「えぇ、いつもより清々しく目が輝いて見えるので」
そんなことを言われ少し恥ずかしくなってしまう。
「とても、楽しかったです。不死川さんがあんなに優しいなんて……もっと殴られるかと思ってました。あと、あんな…」
優しい顔するんだなぁって。
言いかけた言葉を飲み込み、首を振る。
「まぁ、顔は怖いです」
と、言うとくすくすとしのぶが笑う。
「そうですね…素直じゃないんですよねあの人も。……少し、お話しませんか?」
「えぇ、勿論!」
アオイが食べ終わったお盆を下げると共にお茶を出してくれた。
「所でAさん、なぜこんなところに来てしまったのか聞いてもよろしいですか?私、ずっと聞きたかったんです」
「良いですよ。ただあまり私もよくわからなくて……」
「そうなんですか……」
「ただ、その、気が付いたら宙に浮いていて、鬼滅の刃の世界に行きたいって強く願ったらここに来たんです」
「鬼滅の刃…?」
「ええ、この世界は漫画の世界なんですけど、その題名です」
「なるほど、ならば私たちは本当に存在しないものなのですね」
「そういうことになりますね……。でも私はここに来ました」
顔色を伺うようにしのぶは、「ここに来たこと、後悔してますか?」と聞いてきた。
「いいえ、むしろ良かったです。皆さん優しいし……鬼は怖いけど…でも、頑張ろうと思います。しのぶさんのためにも…みんなのためにも」
「不死川さんの為にも?」
顔を上げてしのぶを見るとニコリと笑っていた。
「いいと思いますよ私は。一目惚れは運命だと思います」
「でも、まだ、分からないんですよね…」
「ゆっくりでいいんですよ。恋も、鍛錬も」
さぁ、と立ち上がり今日は寝ましょうと自室に帰った。
その途中に不思議な雰囲気が出た女の子とすれ違う。
カナヲだ。
「カナヲちゃん……?」
そしてすぐ振り返り照れくさそうに笑う。
「……初めまして……」
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作者名:かふぇもか | 作成日時:2019年11月3日 15時