其ノ拾弐 ページ13
甘味処に着くとゆっくりと腰を下ろして、椅子に座らせてくれた。
「ありがとうございます……」
「……」
何も言わずにスタスタと店に入りおはぎを持って戻ってくる不死川。
「ほらよ」
手のひらに置かれたおはぎをひとつ、齧り付くように頬張る。
「!!」
「どうだ」
「おいひぃれす!」
「…飲み込んでから喋れや」
言われたとおり飲み込んでからまた「美味しいです」と伝えると、そうかと満足そうにおはぎを食べ始める不死川。
「あんこの甘さ控えめがとても良いですね……しかも粒あん!」
「粒あん派かァ……俺はこしあん派だな」
「ほー!舌触りがいいですよねこしあん。あんまん食べたくなります……」
「おはぎ食ってんのにまだ食うつもりかよお前ェ……」
引き気味に言う不死川に、笑顔で答える。
「だって……美味しいんですもん……」
「あー……、…また連れてきてやるよォ」
「ほんとですか!なんか、いいタイミングで連れてきてくれるんでちょうどいい息抜きになるんですよね!」
「……まァな」
ポリポリと頬を掻き思い切り伸びる不死川を横に、無防備な姿に思わず口元が緩んでしまう。
「なんだァ?俺の顔になんかついてんのか?」
「違いますよ!ただ…」
「?なんだァ」
「嬉しいだけですよ」
そう答えると、「嬉しいィ?」と片眉をあげて不思議がる不死川。
「ええ、そうです。こんな見た目なのにそんな無防備に甘い物食べてる姿を見れて嬉しいんです。萌えですね!」
「バカにしてんのかァ」
「してないですよ!!死ぬほど褒めてます!」
「そうかィ」
そう応えると、突然じっと顔を見つめられる。
「え?私の顔になにかついてます?」
そう聞くとスっと頬に手が伸びてきた。
「えっ……え……」
心臓がとてもうるさい。
ドキドキして思わず目を瞑る。
「……ほらよォ」
そんな声が聞こえ、うっすらと目を開ける。
口の端を拭われ、目を開けた時にはこちらを伺う不死川の顔が見えた。
「あんこついてたぞ、お前はガキかァ」
「ぁ……」
まだ添えられてる頬に伝わる熱を感じて顔が熱くなる。
違う期待をしてしまったのと、原因のそれが入り交じり恥ずかしくなる。
「ありがとう……ございます……」
か細い声でお礼を言い、目一杯顔を逸らしてしまった。
あぁ……多分顔は林檎のように紅いんだろうな……。
「……何をしているんだ?」
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作者名:かふぇもか | 作成日時:2019年11月3日 15時