.4 〜黄〜 ページ37
ーryoー
「来たで」
「今年は晴れたな」
「去年はめちゃめちゃ雨やって、ちゃんと来れへんかったからなぁ」
「あ、」
「お餅、ちゃんと買うてきたでw」
「忘れるといじけるやろ?w」
「ん、美味いわ」
「どーせ、美味しそうやからってなんでもフーフーする癖治ってへんのやろw」
「あ、これおまけにもろてん。」
「今日は風が気持ちいなぁ」
「まだ海水浴にはちょい早いけどな」
「また一緒に入ろな?」
花束を手渡すと
すぐに彼に背を向ける
そうしないと
いつまでもここにいてしまうと
わかってるから
けど
今日はなんでやろ
たくさん思い出を話したからやろか
正面から潮風を浴びて
裸足で砂浜を掴む
「章ちゃん待ってて。今行くから。」
もうだいぶ歩いたつもりなのに海面はずっと腰より低いまま
「まだ来るなってことなん?」
水の上に寝転がると視界に広がるのは夕日に染まりつつある空。吸い込まれそうなくらい綺麗で、耳元で流れる水の音と揺蕩うこの流れが気持ちよくて、このまま彼の元へ連れて行ってくれないかと、そう願った
バシャバシャと水の中を下手くそに走って来て俺の顔を覗き込むタヌキみたいな顔
こいつかいw
なぁ、章ちゃん?俺いっつも章ちゃんにわがまま言うて、いっつも章ちゃん聞いてくれてたやん?
しゃーないから、今回は章ちゃんのお願い聞いたってもええよ?
この人の手、握り返したらええんやろ。
ヤキモチ妬いたって知らんからな。
どーせ、章ちゃんもわかってんねやろ?
end.
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作者名:時音 | 作成日時:2021年10月9日 0時