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｢………ヒナ。｣
いや、
俺は知ってる。
この人もこのピアノの音も。
俺は知っている。
振り返ったその笑顔に心臓が震えた。
｢やっと会えたな｣
靄がかかっていた頭が晴れていく
隠れていた思い出が
涙と一緒にどんどん溢れてくる
なんで忘れていたのだろう
会いたかった会いたかった
ずっとこの人を探していた
腕の中に包まれる
｢また俺の音で歌ってや｣
俺は歌った
ただひたすらにその音に乗せて
さっきまで知らなかった音
さっきまで忘れていた歌詞
涙が零れ落ちると
そこから景色が鮮やかに広がっていく
あぁ、ここや。
ここが俺のいる場所なんや
お前だけが俺の居場所や
もうどこにもいかんといて
end.
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作者名：時音 | 作成日時：2021年1月27日 8時
