検索窓
今日:6 hit、昨日:0 hit、合計:410,219 hit

10話 ページ11

杏寿郎side





……………調子に乗りすぎだ。




両手のひらで顔を覆う。
 
寝台の上で後悔が押し寄せる現状に軽く既視感を覚える。





俺はなんてことを言ったんだ!

俺無しでは生きられぬ身体に躾けてやる、覚悟しておけよ…






ふざけているのか。



彼女が俺を好きかどうかなど、まだ確かではないというのに。

 
急に抱き寄せ、吐息を吹きかけ…



…………俺は本当に愚かだ。


勘違いだったなら俺が後で苦しむ事になるだけだというのに。




 
君は俺が自分を好いていると気付いたのだろうか。

それで君はあのような事を言ったのだろうか。




 
いや!!!しかし君からあんなことを言われ、冷静にいるほうが無理だ。

俺の行為を正当化できるだけの理由が君の言葉にはあった。

先程の後悔はどこかに消え、君のことを考える。





さっきまで彼女の肩を掴んでいた手を握りしめた。


細く、柔らかい女性の体だ。
俺とは全く違う。



君はどうしてそんなに美しく、儚く、魅力的になってしまったんだ。

君の魅力に気づけるのは俺だけでよかったのに。

俺の側を離れずにずっと隣にいてくれたらいいのに。

情けない考えが頭を支配する。




先程寝台に運んだ君の表情を思い出す。

君は訳がわからないという顔をしていた。

分からないだろう。



君が俺を好きかもしれないという事実だけで
ここまで調子に乗ってしまう俺の気持ち。




耳元で話せば頬を染め、目を潤ませ
俺を見上げてくる君を

俺の手で無茶苦茶に乱れさせてやりたいという荒々しい欲望も。
 




ああ、そうだ。







俺は君が好きだ。


君の言葉一つでこんなにも舞い上がってしまうほど。

君の表情一つで、俺の男としての欲望を駆り立てるほど。


君には分からないだろう。







君と恋仲になりたい。

俺のものになって欲しい。

俺だけしか見ないでほしい。



このような重苦しい願いを持ってしまう俺の気持ちなど分からないだろう。




君から先程のような言葉を聞かされ、調子に乗るなというほうが無茶だ。




君の肩の柔らかさ、美しい瞳、

先程の君の言葉。潤った唇。

俺の羽織を被る細い体。白いうなじ。



いつから俺の頭はそんな事しか考えられないようになったのだろう。









 眠れない夜は長かった。






杏寿郎side終わり!

11話→←9話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (286 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
467人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

おさかなだいすき(プロフ) - ことりさん» ほんとですか!!嬉しいです!!これからも応援よろしくお願いいたします!君のハートに昇り炎天!!! (2021年1月21日 21時) (レス) id: cdd0af75bb (このIDを非表示/違反報告)
ことり(プロフ) - 36話思いっきり爆笑しましたwすっごい好きです!!これからも楽しみにしています! (2021年1月12日 13時) (レス) id: 676d79dd2d (このIDを非表示/違反報告)
おさかなだいすき(プロフ) - はりはりさん» あ!りがとうございます!!! (2020年11月23日 16時) (レス) id: cdd0af75bb (このIDを非表示/違反報告)
はりはり(プロフ) - すっごい好きです!!!主さんストーリー作るの上手っ!!!!! (2020年11月23日 3時) (レス) id: 52ba9d7a4c (このIDを非表示/違反報告)
おさかなだいすき(プロフ) - 麗さん» ありがとうございます!!!修正します!! (2020年11月16日 15時) (レス) id: cdd0af75bb (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:おさかなだいすき | 作成日時:2020年4月5日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。