30話 ページ31
『煉獄先生ちょっとお話があるんでツラ貸せ』
「………うむ」
授業が終わり、職員室で杏寿郎に言った。
彼は大人しくついてきた。
『私が何を言いたいかわかるか』
国語準備室の戸をピシャリと閉めて杏寿郎に向き直る。
彼はめちゃくちゃ申し訳無さそうに俯いている。
「…怒っているか？」
『怒ってるよそりゃもう』
「…本当にすまなかった」
『……もうやっちゃったことだし仕方ない』
私がそう答えると、杏寿郎は安心したように目を輝かせ、私に抱きついてこようとした。
『はいストップ。』
「む…」
『ここはどこ？』
「国語準備室だ！」
『学校の中のね』
「…っしかし二人きりだ！」
彼が一生懸命に言う。
『誰がどこで見てるかわかんないじゃん。今日は私達が付き合ってんのバレたし』
私がそう言うと彼は黙った。
自分のせいだって分かってるからだろう。
『で、私考えたんだけどさ』
ぴし、と指を立てて言う。
「……嫌だ！！」
『まだ何も言ってないでしょ』
杏寿郎が激しく首を横に振る。
「今からの君の提案が俺にとって良いことである訳がない！」
うーん…なかなか勘が鋭いな…
杏寿郎が警戒して手を伸ばしながら私にジリジリ近づく。
口を塞いで何も言えないようにする魂胆らしい。
彼に口を塞がれる前に早口で言った。
『今から私が許可するまでの期間、私に触るの禁止。名前で呼ぶのも禁止。』
「………は？」
呆けたような声が聞こえて、私の目の前で杏寿郎がフリーズした。
『…別にそんなハードでもないでしょ？会わないって言ってるわけじゃないし。』
そう言うと、杏寿郎が私の顔を見て口をパクパクさせる。
「…っ何がハードじゃない！？無理だ！死んでしまう」
私に手を伸ばそうとしてくる杏寿郎からスッと離れる。
『もう今から触るの禁止だから。煉獄くん』
「っ、A！！」
『AじゃなくてAね。
煉獄くんが完璧にできるようになったら解除だから。一緒に頑張ろうね！』
私だってこんなことしたくないけど、みんなの前で恥かくくらいならこのくらいしなきゃ。
だって私達は教師だもん。
『煉獄くん、わかった？ご飯は前とおんなじように作りに行くから安心してね。』
「いや、むりだ、A、無理無理無理無理」
『てことでよろしく！』
「俺は了承してない！！！」
絶望的に叫ぶ彼をあとにして私は国語準備室を去った。
…私だって心を鬼にしてんだよ！くっそー！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 381人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おさかなだいすき(プロフ) - さくらさん» コメントありがとうございます！！だいぶ前に頂いたコメントに返信すみません！そして長い間更新できずに申し訳ありません！読んでいただけて本当に嬉しいです！！ (2021年9月25日 21時) (
レス) id: cdd0af75bb (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - こんばんは！上がったり下がったりしながら夢主ちゃんにときめいている煉獄さん、お茶目でかわいらしいです！今夜も素敵な更新ありがとうございます！幸せな気持ちになりました！ (2021年7月3日 22時) (レス) id: 7c69c8f6ba (このIDを非表示/違反報告)
おさかなだいすき(プロフ) - さやさん» コメントありがとうございます！！！なかなか更新できず申し訳ありません！！今後ともどうぞよろしくお願い致します…！！！ (2021年7月3日 0時) (レス) id: cdd0af75bb (このIDを非表示/違反報告)
さや(プロフ) - コメント失礼しますm(_ _)mこの作品の煉獄さん可愛くて大好きです(*´∀｀*)！！お風呂の攻防戦のとこなんて、反省してない煉獄さんが可愛すぎて(*´Д｀)尊。次の更新を楽しみに読み返しに行ってきます＼(^^)／ (2021年6月11日 17時) (レス) id: 7025e10926 (このIDを非表示/違反報告)
おさかなだいすき(プロフ) - annkoさん» コメントありがとうございます！！！頑張ります！！！！ (2021年4月25日 7時) (レス) id: cdd0af75bb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おさかなだいすき | 作成日時：2021年1月29日 19時
