はじめまして煉獄さん！

40話 ページ41

…とても帰りたい！



宇髄の友達であろう俺の知らない男三人が今日の主役らしい。

女性が五人来るので宇髄と俺は数合わせ要員。





まだ女性が来ていないため、個室にいるのは男達だけだ。




『宇髄…俺はこのような催しに参加するのが初めてなんだが！』

隣に座っている宇髄に声をかける。







…そもそも俺はAのことが好きで…


いや、しかしもう彼女のことは諦めなければ。
Aには村田がいる。







「そんな緊張すんなよ。
お前はそこに座ってればいいの。

あ、もう着いたってよ。」







宇髄がスマホを見ながら言う。



座っていればいいなんてそんなことはないだろう。

宇髄の言うことは半分以上嘘だ。



何をすればいいんだ？酒を飲んで食事……？


待て、このような場ではどれくらいの量食べていいんだ。





話をするのがメインなのか？

いや…しかし腹が減った！！







「あ、今日はそんなに食うなよ。男達で割り勘だからな」

宇髄が俺をちらりと見て言った。








…そんな！


家に帰って金曜ロードショーを見ながらAに分けてもらったミートパイが食べたい。


今日の夜の楽しみにしていたのに。





そんなことを考えていると、個室の引き戸が音を立てて開いた。




女性たちの登場だ。





男女が交互に座り、俺の隣には小柄な明るい茶髪の女性が座る。


甘い花のような匂いが鼻を掠める。


ほとんど無意識に、Aとは真反対の女性だ、と思った。









「じゃあまず自己紹介だな。」
宇髄が言う。


「宇髄天元だ。私立の高校で美術教師してる。
今日はぶっちゃけ人数合わせだからそこんとこよろしくな。」





慣れたような口調で宇髄が言う。

普通の人間を演じる宇髄はなかなかまともに見えた。

いつもの「俺は神だ！」とかはないのか。




そして心なしか女性たちのテンションが下がった気がする。

まあ宇髄は男前だからな！







着々と俺の番が近づいてきた。


俺の隣に座る女性が立ち上がり、自己紹介が始まる。




「こんばんは〜初めまして、結本ココです」





男性陣がそわそわする。



なるほど、この女性は人気が高いようだ。

言われてみれば小動物のような可愛さがある。



「えっと…あたし、
今日はこの人狙いでいきますね！」

そう言って彼女が指さしたのは、









俺。








「……よもや」

口から乾いた声が漏れる。









宇髄…笑うな。殴るぞ。

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