はじめまして煉獄さん！

29話 ページ30

借り物競走…

それは世にも恐ろしい競技である…









ある生徒は【三年蓬組の黒板消し】と書かれた紙を引き、校舎四階までダッシュして行った。



またある生徒は【誰かのヅラ】と書かれた紙を引き、途方に暮れて泣き出してしまった。



極めつけには、【好きな人】を引いたウェイ系男子が、全校生徒の前で公開告白をし、見事玉砕した。

振った方もなかなか勇気あるな。






いや体育祭テンション怖。





たった今アオイちゃんの組がスタートしたところだ。

私の番は次の次。


地面に伏せてある紙をめくっている姿が見えた。



「……お医者様！？」

アオイちゃんの絶望した声が聞こえる。





どうやらお医者様を引いてしまったようだ。

お医者様を引く(パワーワード)




「こ、この中にお医者様はいらっしゃいませんか！！」



…アオイちゃん…可哀想…
お題考えたの絶対宇髄さんでしょ。


たまたま観戦していた外科医がいたらしく、一緒にゴールしていた。

よかったね…アオイちゃん…







次の組がスタートする。


む、あれは確か有一郎くん？

長い髪をなびかせながら走っていく。

かがんで地面に伏せられた紙をペラリとめくったのが見えた。





「…は？」

有一郎くんの大きな声が聞こえた。

どうしたどうした




「ドラ○もんなんかいるわけねえだろ！！」

そう叫びながら、ドラ○もんを探しに校庭を走る。




走るの速…
ドラ○もん…いるわけない…


30秒後に、ドラ○もんと手を繋いで有一郎くんは帰ってきた。






…え？(困惑)

早めのご本人登場に気を取られていると、私の番がやってくる。







変なお題当たりませんように…！


「A先生頑張れー！！」
「「「頑張れー！！」」」


皆の応援の声が聞こえる。
声の方向へ手を振った。




…あーもう。緊張するな…


“位置について、よーい”





パァンっ！

ピストルの大きな音が空に響いた。






…みんな走るのはや…

みんなはもう既にお題に辿り着いていた。







「…冨岡先生のジャージ上下？無理だろ！！殺される！！」


「獲れたてのイワシ100匹…！？」


「サトウキビ農家(ただし麦わら帽子を被った50代男性に限る)…！？」


「…か、鏑丸(伊黒先生付きでも可)…！？そんなっ……！神様は俺を殺したのか！！？」









………ん？これ勝てるんじゃね？

みんなよりちょっと遅れてお題の紙をめくる。









【金髪で毛先が赤い男性三人】

…ぬーん…

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