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43話 ページ44

杏寿郎side





Aの絶叫が風呂場から聞こえた。




俺は寝台から飛び起き、風呂場に向かう。



……鬼か?いや、気配はしなかった。


彼女の身に何かあったとしたら俺はこの先どうすれば…
悪い考えが頭をよぎる。



落ち着け…考えるんだ。
彼女がこれほどまでに取り乱すのは…




脱衣所に入る。

風呂の戸の少し開いた隙間から、何やら黒くて小さいものが這い出てきた。





……これは…。

『もう大丈夫だ!』

風呂場に向かってそう言い





俺はそれを捕まえ、外まで運び出す。



恐らく、Aが叫び声を上げた原因はあれだ。




Aの小さい頃からの唯一の弱点である。

昔から虫であれば何でも、見つけるだけで動けなくなり、俺に助けを求める。

一生懸命俺に縋る彼女の可愛らしい姿は今でも簡単に思い出せる。







脱衣所に戻り、Aに戸越しに声をかける。


『A!もう大丈夫だ!俺が外まで運び出した!安心しろ!!』




すると突然、風呂場の戸が開き、Aが俺に抱きついてきた。




条件反射で俺も彼女を抱きしめ返した。





今思えばこれがいけなかった。


あのとき、俺はすっかり忘れていたのだ。

ここが風呂場であり、風呂とは裸で入るものだと。






抱きしめ返した腕と手が味わったのは、今までに触れたことのない柔いものだった。




それは俺とは全く違い、ふわふわと柔らかく、なめらかでずっと触っていたいようなAの背中だった。





それに気づいた俺は、しばらく硬直した後、俺の胸に密着している豊満な柔らかいものにも気づくことになる。









 

………………まずい。









俺の脳がそう判断した瞬間、俺はその場に卒倒していた。


恐らく、俺の脳がそれ以上それについて考えるのを拒否したからだろう。







薄れゆく意識の中、慌てた顔のAと駆けつけた千寿郎が


俺の名前を一生懸命呼んでいるのが聞こえた。









杏寿郎side終わり!

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抹茶タピオカ2号(プロフ) - ウ〜〜〜〜〜!?!?////ヤバイ吐血&鼻血が、止まらん!!((変態とても面白かったです( ≧∀≦)ノ (2020年4月4日 20時) (レス) id: 48661705e7 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶タピオカ2号(プロフ) - 千寿郎お母様にそっくりだー( ゚□゚)とても面白かったです( ≧∀≦)ノ (2020年4月4日 2時) (レス) id: 48661705e7 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶タピオカ2号(プロフ) - うわー!杏寿郎と夢主ちゃんが、大変なことになってる!\(゜ロ\)(/ロ゜)/とても面白かったです( ≧∀≦)ノ (2020年4月3日 21時) (レス) id: 48661705e7 (このIDを非表示/違反報告)
roro(プロフ) - 始めまして!めちゃめちゃ面白くて何回も読み返しました!更新楽しみにしてます!頑張ってください! (2020年4月3日 2時) (レス) id: 66099f3f1d (このIDを非表示/違反報告)
抹茶タピオカ2号(プロフ) - とても面白かったです( ≧∀≦)ノ (2020年4月3日 0時) (レス) id: 48661705e7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おさかなだいすき | 作成日時:2020年3月24日 15時

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