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けれど、木の上で鬼の様子を見ておった太智は、妙な違和感を感じておりました。
それは、鬼の体表。
それに、さっき自分が射抜いた鬼の目でした。
通常、鬼は動と頭を切り離せば殺すことができます。
しかしこの鬼は、その接合部分に、分厚い骨のようなものが出っ張っているのです。
まるで、鬼の唯一の弱点を守るように。
さらに、傷ついた体は、すぐに元に戻るというのが鬼の特徴の一つでもありました。
なのに、この鬼の目は、元に戻るというよりも、先ほどよりも分厚い瞼に覆われ、まるでそれは岩のようになっているのです。

舜太「まずはその邪魔っけな腕から斬り落としてやる!!」

舜太の持つ黒い刀は鬼の腕を一刀両断。
見事その大きな腕を斬り落としたのです。

舜太「この調子で全身ばらばらにしてやる!!」

と、調子づいたところで、鬼の腕はすぐさま再生していきます。
けれど、その様子はいつもと違い、異様なものでした。
先ほどまでの腕とは違い、さらに太く、また、体表にはいくつもの棘が生えていくのです。

舜太「何だこれ……。まぁいい!また斬ってやる!!」

そして、再び同じように刀の刃を鬼の腕に差し入れたときでした。
その刃は、まるで鉄を切ったときのように弾かれたのです。

舜太「?!硬い?!」

太智「ま、まさか……」

先ほどよりも硬い鬼の腕の体表は、もはや舜太の刀すら通しません。

舜太「くそ!とっとと首を切り落とすか!」

鬼を倒すことのできる唯一の方法をとるべく、舜太は鬼の首を目指します。
けれどもこの巨体では、太智の身軽さでもない限り、たどり着けそうにはありません。
なら方法は一つ。

舜太「足を切り崩して、倒すしかない!!」

舜太の狙いは鬼の足。
片方でも切れれば平衡感覚を失い、体勢を崩すはずです。

太智「大将!!斬っちゃだめだ!!」

舜太「馬鹿言うな!!斬らないでどうするんだよ!!そらあああ!!」

太智「違うんだって!!もう!!」

聞く耳持たず、舜太は鬼の足を一太刀で斬り裂いたのです。
傾く鬼の体。
舜太は狙い通りに行ったことで、ほくそ笑みました。
しかし、鬼の回復速度は速く、倒れる前に新しい足が生えていきます。
しかも、腕と同じように、太く頑丈に、おぞましい棘を生やして。

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作者名:milkssss | 作成日時:2020年7月13日 21時

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