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仁人「最後は私の話になってしまいましたが、つまり、そういうことでございます」
仁人の過去を聞いた太智は、しばらく黙って何かを考えておりました。
けれど、隣の舜太は、それと同時に立ち上がり、口を開いたのです。
舜太「まったく、つまんない話を延々と話しやがって……。さぁ、行くぞ」
太智「行くって、どこに？」
舜太「決まってるだろ。あいつのところだ。俺の刀を、取り戻しに行く」
完敗した相手に、舜太は再び立ち向かうつもりです。
武器も今は持っていないというのに、彼は未だに諦めてなどおりません。
舜太「あんたの鼻ならあいつの臭いを辿っていけるだろ？」
仁人「そ、そうですが……。けれど、行ったとて、あいつには勝つことなど……」
太智「いや……。勝機はある」
仁人「え？」
太智「何もあいつに戦闘で勝てなくてもいい。武器を奪い返すだけなら、勝算はある……。おいらに、ちょっと考えがあるんだ」
舜太「……よし、じゃあ今すぐ行くぞ。もたもたしてたらあの刀、どこに売られるかわかったもんじゃない」
そう言って、舜太はすでに歩き出しておりました。
そして、太智も、もちろん仁人もその後に続きます。
仁人「舜太殿……。まったくあなたという人は……」
舜太「あ？なんか言ったか？」
仁人「いいえ……」
仁人(舜太殿、あなたはいつも私のことを邪魔者扱いするのに、今日は黙って私の話を聞いていてくれた。
私の話など、聞くこともなくすぐに立ち去ることだってできたはずなのに。
そして、今は私の鼻を頼りにしてくれている。
それが例え、自分の為であったとしても……)
仁人「西の方角から、勇斗と舜太殿の刀の匂いが致します！」
舜太「よし、急ぐぞ！！」
そして、舜太と仁人、太智の三人は、強豪・佐野勇斗から刀を奪い返すべく、西の方角へと駆け出したのでした。
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作者名：milkssss | 作成日時：2020年7月13日 21時
