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太智「大将！！くそ……！今度はおいらが！！」
仁人「太智殿！！いけません！！」
仁人の叫びは、太智にももう届きません。
佐野の背後をとるように、太智はその身軽な動きで跳躍し、上空で弓に矢をつがえて佐野の体に狙いを付けました。
勿論、急所は外し、最小限の傷で済む位置を狙って。
けれど、佐野は太智の方を見向きもしないで、左手に持った長棒を風を切るより早く突き出したのです。
そして、棒の先端は、上空で弓を引く太智の
太智「ぐふっ……？！そ、そんな……。おいらのこと……見もしないで……」
鳩尾にめり込む棒の先端はさらに深く鳩尾を圧迫し、太智は息もできず引き絞った矢は放たれることなく地面に力なく落下しておりました。
佐野「この程度か……。軟弱な奴らめ。それじゃ、お前らの防具とその刀はもらっていくぞ」
棒の先端でぐったりと項垂れる太智の防具を奪いとろうと、佐野が手を伸ばしたその時でした。
仁人「待て……！」
今まで見せたこのない怒りの表情を浮かべ、仁人が佐野の前に立ちはだかりました。
佐野「お前まで俺に向かってくるつもりか……？俺のことはお前が一番知ってるだろう？」
仁人「確かに、私ではお前に手も足も出るはずがない……。されども、その方たちは私の大切な人たちだ！！これ以上の
佐野「だったらどうした？お前に……一体何ができる……」
舜太と太智の二人を簡単に手玉に取った佐野を前に、仁人は意を決したように背中の槍を構えました。
たとえ、この男に敵わぬとわかっていても、仁人は確かに佐野の心臓に狙いをつけて、槍を構えたのです。
佐野「俺は……お前だからといって容赦はしない。この大剣、岩融の錆になるがいい」
次の瞬間、防ぎきれない爆風が仁人の体を襲い、その体はいとも簡単に吹き飛ばされてしまいました。
そのまま仁人は人のいなくなった商店の壁に体を打ち付け、全身に激痛が走ります。
更に佐野は止めの一撃、持っていた棒の先端を、仁人の鳩尾に叩きこんだのです。
仁人「ゔっ？！」
佐野「悪く思うな……」
人体の急所の一つである鳩尾を的確に突かれ、仁人はもはや意識を保っておくことはできません。
薄れ行く意識の中で、佐野が舜太の刀を手に取るのが見えた後、完全に意識を失ってしまうのでした。
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作者名：milkssss | 作成日時：2020年7月13日 21時
