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そして、その瞬間、小槌から放たれる眩い光が鬼の体を包み込みました。
天に轟く咆哮と、地を揺るがす振動。
それと同時に巨大な鬼の体が見る見るうちに小さくなっていくではありませんか。
やがて巨大な鬼は、人の背丈ほどまでに小さくなったのです。

舜太「これなら斬れる……!!止めだ!!」

刀を一振り、刹那、鬼の首は見事に吹き飛び、その体は枯草のように萎れていきました。
同じ頃、役目を果たしたかのように舜太の手に握られておった打ち出の小槌も、光の粒となって消えていきました。

仁人「自分を滅することのできる秘宝を、己が心臓に隠していたのやもしれませんな」

一寸「しかしこれで、宝探しに出たものが帰らなくなる奇怪な出来事もなくなります……。皆様にはなんとお礼を言って良いのやら」

舜太「礼なんかいらない。俺は鬼が斬れればそれでいい……」

太智「そうそう!別に礼をされるほどのことなんかしてないし。むしろ法師様がいなければ、おいらたち今頃あの鬼に溶かされてたかも」

仁人「そうですな。お礼を言うのはむしろこちらです」

一寸「いえいえ滅相もございません……。それで皆さまはまた鬼を退治に行かれるのですか?」

舜太「あぁ。俺は全ての鬼をこの手で殺す……。俺の望みはそれだけだ」

一寸「そうでございますか……」

仁人「法師殿はどうされるのですか?」

一寸「私は、村へ戻ります。残された村人たちの事も心配ですからね。では、皆さまお気をつけて。またいつか、私の村にもお越しください。その時は手厚くもてなさせていただきます」

太智「ありがとう法師様!」

仁人「法師殿もお気をつけて。では失礼いたします」

一寸「あなた方の旅路に幸多からんことを」

そうして、法師に別れを告げた三人衆は、違う鬼を求めて旅立っていきました。

一寸(……。鬼が滅された後も残っていた小さな妖気が遠ざかっていく……。やはりあの中に……)

法師は彼らに背を向けると、足早に自分の村へと帰っていくのでした。
清めの錫杖の音を鳴らしながら。


 

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作者名:milkssss | 作成日時:2020年7月13日 21時

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