M!LKで桃太郎其の弐 (ページ14)

今日:3 hit、昨日:5 hit、合計:3,561 hit

　ページ14

舜太「っしゃああ！！」

仁人「舜太殿！！太智殿！！無事で……良かった……！」

舜太「何泣いてるんだよ、大げさな……」

仁人「な、泣いてなどおりません！それよりもあれを！！」

外に出られたのも束の間、轟音は鳴りやまず、仁人が指差した先、その光景に舜太も太智も息をのみました。
そこには、明安京の防壁ほどもある巨大な物体が唸り声を上げていたのです。
それはまるで動く山の様。
草木や土をまき散らしながら、それはゆっくりと動いておりました。

舜太「な、なんだこの大きさ……」

空が割れるような咆哮と共に、その巨大な鬼は腕を振り上げ、舜太たちに襲い掛かります。

太智「あんなの、避けきれない……！」

舜太「俺が真っ二つにしてやる！！」

あの腕を切り落とすことなど、到底不可能に見えます。
それでも、舜太は自身の腰に携えた刀に手をかけました。

けれどその時。

一寸「皆さま待ってください！！……何か聞こえます！」

盲目の法師、一寸が何やら耳を澄ませていました。
感覚を研ぎ澄まし、耳に全神経を集中させ、聞こえるものとは。

舜太「こんな時に、何が聞こえるってんだよ！」

一寸「……舜太様の方から、何やら聞こえるのです！」

舜太「お、俺？！」

仁人「？！舜太殿！懐が何やら光っておりますぞ！」

舜太の懐、そこから金色の光が漏れ出し、辺りを眩く照らしていました。

舜太「こ、これは確かあの時……」

懐に入っていたもの、それは鬼の心臓から現れ出でたものでした。
それが金色の光を放っているのです。
やがてその光は大きくなり、何かの形に変化していきます。

太智「それは……小槌？！」

仁人「ま、まさか……法師殿がおっしゃられていた、打ち出の小槌？！」

一寸「なんと、打ち出の小槌が？！舜太様、それをお使い召されよ！それは不思議な力を持つ秘宝と聞いています！鬼を倒す力となるやも！」

舜太「ええいままよ！打ち出の小槌！あいつをどうにかしろ！！」

舜太の手に握られた打ち出の小槌。
もう考えている暇もありはせず、舜太はやけっぱちでその小槌を鬼に向かって振ったのです。