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それからしばらくして、舜太たちが森へ戻ると、木の陰に腕を組んで体を預けた佐野が待ち構えておりました。
舜太「ちゃんと話付けてきてやったぞ」
太智「町はずれのお寺の住職さんが、快くあの子たちを引き取ってくれたよ……。あそこなら、きっとあの子たちは幸せに暮らしていける……」
舜太「あいつら言ってたぞ……。迷惑かけてごめんなさいって……。それから、今まで……ありがとう……って……」
佐野「……そうか……」
舜太「ったく、礼の一つも欲しいところだけどな……」
仁人「その前に……勇斗、お前に話があります」
真剣な眼差しで、仁人は佐野の前へと歩を進めました。
過去の因縁を背負う二人。
舜太と太智も、いざというときの為に、少しばかり身構えておりました。
けれど、仁人が言い放ったのは、この場の誰しもが想像しえない言葉だったのです。
仁人「勇斗、私達と共に鬼退治の旅をしてはくれませんか？」
舜太「え？はあああ？！ちょっと待った！！どういうことだよそれ！！」
太智「そ、そうだよ。それはいくらなんでも突拍子なさすぎないかい？」
仁人「舜太殿、太智殿、申し訳ありません。でも、考えてもみてくだされ。こやつはあの鬼を殺すことはできずとも、ほぼ一撃で薙ぎ倒したのですよ？
きっと今回の鬼は、私達だけでは決して勝つことはできなかったでしょう。
今後もそんな戦闘が待っていると思うと、命がいくつあっても足りませぬ。
その点、こやつを仲間に引き入れれば、戦闘は百人力、いや、万人力と言って良いはずです。
決して、悪い話ではないと思いませんか？」
太智「うーん……。まぁ言われてみれば……」
舜太「ぅおおおおおい！待った待った！！何勝手にそんな話してるんだ！！俺はもう仲間なんていらないってば！！こんなすかした奴俺は無理！！それに今回は油断しただけで、次は必ず―」
太智「そんなこといって、大将はいつも一人じゃ勝ててないでしょ」
舜太「はあ？！んなことない！！俺は一人でだってあんな鬼ぐらい余裕で勝てるって！！」
太智「そういうのは一人で勝ってから言うもんだよ……」
舜太「むぐぐぐぐぐっ！！」
歯に衣着せぬ言葉に、舜太も言い返す言葉も見つかりませんでした。
太智「でも確かに、仲間になってくれればまさに弁慶に薙刀、鬼に金棒って感じでいいかも！この際だから、仲間になってよ！」
舜太「あ、あんたまでそんな……」
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作者名：milkssss | 作成日時：2020年7月13日 21時
