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太智「え?いいじゃん!おいらにとったら大将だ!大将の子分になったんだから、何でも言ってよね」

仁人「では私は家臣ですから、上様とでもお呼びしましょうか?舜太殿の事」

舜太「やめてくれ!子分に家臣だなんて、俺はそんなの求めてないから!!」

太智「もーわがままだな。じゃあ何だったらいいのさ?」

舜太「そ、そんなの知らないよ!勝手についてきたくせに!」

仁人「ふふ、舜太殿が困っておられる。これは愉快愉快」

舜太「ま、また馬鹿にしてるだろ!」

洞窟の入り口で賑わいを見せている三人衆。
仲が良いのやら悪いのやら。
しかしそんな時、この洞窟で何やら異変が起こっておりました。

仁人「っ!」

太智「仁人先生?どうかした?」

仁人「この洞窟の奥から、血の臭いが……!」

舜太「何?!まさか、鬼か?!」

仁人「分かりません……。この雨で気が付きませんでしたが、かすかにこの奥から血の臭いが致します!」

視線の先には、真っ暗で先の見えない洞窟が待っております。
けれども、この暗闇の奥底から漂う血の臭い。
鬼を全て殺すことを誓った舜太には、確かめないわけにはいきません。

舜太「俺は行く。もしも鬼だったなら、この俺が斬り殺してやる!」

仁人「お待ちください。こんな暗闇の中入って行っても、何も見えず、鬼がいたとて逆に喰い殺されてしまうかもしれませんよ?」

舜太「む……」

洞窟の奥はどれだけの広さがあるのかもわかりませんし、陽の光も届かぬ完全な暗闇。
もしも鬼が潜んでいたとしても、何も見えない中では戦いようもありません。
それに、松明(たいまつ)を作ろうにも、木々は雨で湿気り、火など付かないでしょう。

太智「まぁこんなこともあろうかと、旅の必需品はちゃんと持ってきてるんだよね」

すると、太智は風呂敷包みからあるものを取り出しました。
それは蝋燭(ろうそく)が付いた行灯に火打石。

仁人「さすがは太智殿!これは頼もしい」

舜太「そんなのあるんなら早く出せ」

仁人「舜太殿!なんて言い方するのですか!」

太智「まぁまぁ、さ、これで灯りができたよ!それにしても……この奥……なんか出そう……。本当に、い、行くの?」

舜太「もちろん。なんだよ、怖いのか?怖いなら無理に付いてこなくていいけど」

太智「い、行くよ!どこまでもお供しますよ!」

舜太「はぁ……」


 

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作者名:milkssss | 作成日時:2020年7月13日 21時

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