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帝「な、何だ?!余の目が?!」
暴れる鬼の角は舜太の胸から引き抜かれ、自由の身となった舜太は地面にどさりと力なく倒れこみました。
いまだにもがき苦しむ鬼を、かすむ目で見てみますと、なんと鬼の目に矢が突き刺さっているのです。
帝「ぐっ……こんなもの……」
鬼が自分の目から矢を引き抜くと、潰れたその目が見る見るうちに治っていきます。
けれども次の瞬間、またしても風を切る音を引き連れ、矢が鬼の頭部に突き刺さりました。
帝「忌々しい!どこから撃ってきておる!!」
「こっちだよ!!」
その声は、はるか遠方から聞こえます。
視線を移すと、屋敷の屋根の上に、誰かが弓を引き絞っているのが見えました。
帝「そこか……」
青い小袖をなびかせて、その誰かはまたしても矢を放ちます。
そして、それもまた鬼の頭部を直撃しました。
帝「寸分の狂いもなく余の頭を……。
人間の弓矢など、鬼には大したダメージを与えることなどできませんが、何度も確実に命中する矢が目障りなことに変わりはありません。
一刻も早く矢を放つものを消し去りたいのです。
そして、鬼は自慢の脚力で屋敷の上に飛び移ろうと体制を屈めた瞬間、何やら視界がぼやけます。
帝「何だこれは……息が出来ぬ……?!」
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作者名:milkssss | 作成日時:2020年7月12日 18時