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高い防壁に囲まれた華の都、明安京。
月明かりがぼやっと辺りを照らす中、この都の統治者、帝に化けた鬼は、戯言を抜かす人間をあざ笑いました。

帝「ふはははは!!余を斬る、だと?お前のごときか弱き人間が世迷言を」

舜太「覚悟しな」

月明かりで妖しく輝く刀の切先が、帝の首に向けられました。

帝(なんだあの刀……)

まるでその刀自身に意志があるように、切先を向けられているだけなのに、鬼は少し後退ってしまいました。
あの刀からは何か、特別な力を感じるのです。
人間には感じ得ない、力が。

帝「面白い……。人間、少し遊んでやろう」

鬼の力は人間の数十倍。
ひとたび地面を蹴れば、まるで鳥になったように上空高く舞い上がることができます。
そんな跳躍力をもって、鬼は舜太の真上に飛び上り、鋭い牙の並んだ口から、長い槍のような舌を突き出して、串刺しを狙っています。
けれど、舜太もそれを見切ったかのように刀を振るい、その舌は見事に切り落とされました。

帝「?!余の体が……人間に斬られた?!どういうことだ……?!」

鬼の皮膚は鉄のように硬し。
人間の腕では傷付けることなど容易ではありません。
しかし、あの刀は、鬼の体をいとも簡単に切り裂いてしまうのです。
初めて傷つけられたことで、鬼は大層驚きました。

舜太「今度は首だ!!」

帝(こいつ……鬼の急所まで知って……?!)

そして、鬼の生命力は人知を超え、例え体が傷ついたとしても、一瞬のうちに傷は塞がり、欠けた体は元に戻ります。
けれども、そんな鬼の唯一の弱点。
それは首と胴を切り離されることです。
しかしながら、鬼にとってそんなことまずありえません。
この鬼に傷をつけることができる人間など、今までいやしなかったのですから。

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作者名:milkssss | 作成日時:2020年7月12日 18時

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