M!LKで桃太郎其の壱 (ページ3)

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お爺さんとお婆さんが、川で赤子を拾ってから十数年の年月が経ちました。
彼らに拾われた赤子は沢山の愛情をもって育てられ、すくすくと成長し、もうすぐ齢(よわい)十八になろうとしていました。

媼「舜太や、今日も元気だね」

舜太「うん！今から魚釣って来るよ。今日の夕飯は豪勢に鮎の塩焼きにでもしよう」

舜太と呼ばれた彼こそ、赤い箱に入って川を漂流していたあの赤子です。
今ではお爺さんやお婆さんよりも背が伸びて、三人で仲良く暮らしておりました。
赤と白の箱にちなみ、白と赤の美しい花を咲かせるむくげのように、おおらかで明るい人に成長してほしいという願いを込めて、お婆さんとお爺さんは彼に"舜太"という名前を授けました。

舜太「じゃあ行ってきます！」

舜太はお婆さんに手を振ると、自分でこしらえた釣り竿と籠を背負うと、家から少し離れた川へ釣りに出かけていきました。

翁「おや、舜太はもう出かけたのか」

媼「えぇ、ついさっき。それにしても、あの子も今日で十八ですか」

翁「そうじゃのう。十八年前、あの川で舜太が流れてきてから、わしらの暮らしもにぎやかになったもんじゃ」

媼「そうですね……。とっても楽しかったですね……。もう、思い残すことなんてありません……」

翁「何言っておるんじゃ、婆さんや。まだまだ舜太と一緒にいてやらねば、あいつが可哀想じゃろうて」

媼「うふふ、そうですね。さ、舜太が鮎を釣って帰ってくるまでに、夕飯の支度をはじめますか」

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