恋色サイダーは金曜日に。

036 ページ36

,







岸さんと過ごしてる時間はあっという間に過ぎていき、もう夕方。









岸「そろそろ帰らなきゃな、最後なんか乗ろーぜ！」









寂しい、

ずっとこのまま時が止まってしまえばいいのに、

なんて叶わないことを願ってしまう。









貴「私これ乗りたい！」

岸「ん？観覧車？」

貴「うん、最後にぴったりでしょ？」

岸「たしかに！いよっし、乗ろ！」









優しそうなお姉さんの指示に従いながら、二人で観覧車に乗り込む。









岸「観覧車なんていつぶりだろ、悪くないな、観覧車！」

貴「でしょ！景色すごい綺麗…」









まだ少しだけ明るい空が、もう帰る時間だと嫌でも知らせてきて。

…でもそんな空でも、岸さんと同じ思い出が出来るのなら悪くない、そう思ってる自分もいる。









岸「…今日、まじで楽しかった！誘ってくれてありがとな」









オレンジの太陽の光に照らされてる岸さんの笑顔は景色なんかよりもずっと綺麗で、思わず涙が出てきそうになる。









貴「っこちらこそ！私もすごく楽しかった！」

岸「…そか、ならよかった！」









照れくさそうに笑ってる岸さんの隣に今すぐ行きたい。

その大きな胸に飛び込みたい。

…でも、私と岸さんはそんな関係じゃないから。

この溢れそうな思いを、今ここで岸さんに伝えてしまえば…

きっと、もう会うことは出来なくなってしまう。









岸「…えっ！？おい、どうした！？」

貴「……え？」

岸「え、じゃないだろ！？なに泣いてんの！？どっか痛いところとかある！？」









こんなにも好きだと心から思うと、涙が出てくるんだと初めて知った。

自分でも泣いてることに気づかなかったくらいに、自然と涙が零れて。









貴「…好き」









そして、自然と言葉も溢れ出していた。









.

037.K→←035＋新作のお知らせ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す