Hoshikuzu11 ページ12
.
「よし、帰るか!」
長いような、短いような初めての部活は終わった。
優太が着替え終わったところで、2人で並んで歩く通学路。
今までは私が帰宅部だったから、一緒に帰ることはすごくめずらしい。
「…あのさ、本気で勝利先輩のこと好きなの?」
前を向いたまま、優太がそんなことを呟く。
…なんで今、その質問するかな。
「残念ながら本気みたい。
…馬鹿みたいだよね、叶うわけないのにね」
「……」
「ほんと、なんでまだよく知らないのに好きになっちゃったんだろ…」
だめ、こんなことで泣くなんて情けない。
優太に迷惑かけちゃう。
頭ではそう思っても溢れてくる涙は抑えきれなくて。
…好きってこんなにつらいんだね。
「…あはっごめん、みっともないね」
「…A、」
「私が佐藤先輩に恋なんて、佐藤先輩がこんなブサイク相手にするわけっ」
「Aっ」
ペチっと私の頬を優太の大きな手に包み込まれる。
私の顔を覗き込む優太の表情はひどく悲しそうで。
…いつもそう。
どうして私のことなんかにそんな顔するのさ、バカ優太。
「俺は、Aのことそんな風に思ったことねぇよ」
「…優太は優しいね」
「……どうだろうな、」
そんなこと言いながらも、やっぱり涙を拭ってくれてる優太の手はすごく優しくて。
やっぱり優しいじゃん、そう言うとなぜか優太はひどく切ない顔で笑うんだ。
「泣くなよ、まだ入部して1日だろ?」
「…うん、そうだよね」
「俺もいるからさ、頼れよな」
「……うん」
「…頑張れよ」
ポンッと私の頭を撫でてくれる優太。
優太の癖なのか、いつも私が泣いてたらこうやって撫でてくれる。
そんな優太の温かい手はやっぱりすごく落ちつくんだ。
「…ねえ、アイス食べたい」
「………俺奢んねえからな!」
「出た、ケチ優太!!」
「……っあーもう!今日だけだかんな!」
ちくしょーっ、なんて呟きながら早歩きになる優太に後ろから、
「ありがとう、」と聞こえるか聞こえないかの声で呟く。
「どーいたしまして!」
優太はどうやら地獄耳らしい。
爽やかな優太の笑顔は、夕日でオレンジに染まりすごくキラキラ輝いていた。
.
516人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
赤リンゴ - 更新して頂けると嬉しいです! (2017年11月11日 23時) (レス) id: cf09b59818 (このIDを非表示/違反報告)
桃太(プロフ) - すぬーぴーさん» 遅くなってすみません、メッセージありがとうございます。時間はかかってしまいますができる時は更新していこうと思います! (2017年10月25日 17時) (レス) id: 8e498a3512 (このIDを非表示/違反報告)
すぬーぴー(プロフ) - 更新心待ちにしてます (2017年9月9日 16時) (携帯から) (レス) id: 17db901173 (このIDを非表示/違反報告)
桃太(プロフ) - 赤リンゴさん» 前回の作品といい、コメントありがとうございます!!励みになってます、この作品も完結できるように頑張ります!! (2017年8月31日 5時) (レス) id: 8e498a3512 (このIDを非表示/違反報告)
桃太(プロフ) - 侑莉亜さん» ありがとうございます!これからも更新頑張りますね! (2017年8月31日 5時) (レス) id: 8e498a3512 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:桃太 | 作成日時:2017年8月17日 16時