asagao8 ページ8
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なんとなく、気まずくなって2人とも歩きながらだんまり状態。
…なんか、話しなきゃいけないのはわかってる、けど!!!
さっき引き止めたときのことが未だに恥ずかしくて、思うように話しかけれない。
「…私ね、いつも岸くんのこと見てたんだ」
唐突に大島ちゃんから発せられた言葉に、俺は思わず息を呑む。
…え、まじ!?
大島ちゃんって俺のこと…!?
「岸くんってすごく人気者で、明るくて、素直で真っ直ぐで…そんな岸くんがすごくうらやましかった」
あ、やっぱり俺の勘違いっすね。
声に出てなくてよかった、すっげえ可哀想な奴になるところだったわ。
「そ、そんなに褒めてもらえると、なんか照れるな…(笑)」
「本当に思ってるよ?…岸くんは私にはないものがあって、すごく綺麗だなって思ってた」
「綺麗とか…まじ大袈裟だって(笑)」
「ううん、そんなことない、
…岸くんは、私とは正反対の人だから」
「…私はすごく、汚いの」なんて俺に届くか届かないかくらいの声で呟く大島ちゃん。
「そうか?俺は大島ちゃんのこと、汚いなんて思ったこと1度もないよ?」
「…うん、そうだよね」
そう言って大島ちゃんは儚く笑う。
その瞳には、光なんてなくて、漆黒で闇に包まれてる感じがした。
…一体、何が大島ちゃんをそんな表情にさせるのか、俺にはさっぱりわからなくて。
さっきみたいに、勝手に踏み込んで困らせたくもなかったから結局何も言えないまま、ただただ隣を歩くことしか出来なかったんだ。
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── この時、俺が大島ちゃんの、彼女なりのSOSだって気づけていたら。
もっとましな、別の未来があったかもしれない。
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「A、」
2人で歩いていると、後ろから大島ちゃんを呼ぶ声が聞こえてきた。
「…お父さん、」
「……隣の子は?」
一瞬ギロっと睨まれた気がしたけど、
すぐにお父さんと呼ばれた男の人は優しい笑顔に変わる。
「あっ俺、Aさんと同じクラスの岸っす」
「…そうか、岸くんこれからもAをよろしくね」
「はいっ!」
── どうしてこの時、気づけなかったのか。
大島ちゃんが、怯えて震えているということに。
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桃太(プロフ) - 夏(なの)さん» 嬉しいです!もっと表現力鍛えて切なさをアップしていきたいと思います!!フォローもありがとうございます(^ ^) (2017年8月8日 19時) (レス) id: 8e498a3512 (このIDを非表示/違反報告)
夏(なの)(プロフ) - 一気読みさせて頂きました!とても面白く、ちょっと所じゃない切なさが(笑)お父さん殴りたくたいーー!!あ!後フォローさせて頂きました! (2017年8月7日 10時) (レス) id: 4baeef7a64 (このIDを非表示/違反報告)
桃太(プロフ) - 赤リンゴさん» いえいえ、全然大丈夫ですよ!大好きなんて言ってくださるなんて感激です!!これらもよろしくお願いします! (2017年8月4日 3時) (レス) id: 8e498a3512 (このIDを非表示/違反報告)
赤リンゴ - 私のミスで同じコメントを投稿してしまって申し訳ありません。 (2017年8月3日 15時) (レス) id: cf09b59818 (このIDを非表示/違反報告)
赤リンゴ - 桃太さんの作品大好きです!これからも応援しています♪ (2017年8月3日 15時) (レス) id: cf09b59818 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桃太 | 作成日時:2017年7月27日 1時