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ポツンと書斎に取り残された沖矢とA。
チラリと沖矢を伺うと何やら携帯をいじっているのでこの隙にとAは鞄から分厚い小説を取り出す。
Aのここに来た1番の目的は借りてきた本を返す事だ。
ならばさっさと終わらせて適当に理由をつけて帰ってしまおう。…2人には悪いが。
沢山本の並んだ本棚を眺め、借りた本の元あった場所を思い出しながら空いていた隙間に本を戻す。
「その本どうされたんです?」
その瞬間至近距離で声が聞こえ、思いっきり肩が跳ねた。
静かな空間だったのに全く気配がしなかった……。
「コナン君に、頼んで借りてました」
荒ぶる心臓を落ち着かせながら動揺が顔に出ない様に淡々と説明を口にする。
まあ、この人がこの家に住んでしまっているのならもう借りには来れないな。そう思い名残惜しくなりながら本棚を眺めているとホウ…と沖矢は隣で顎に手を当てて納得していた。
「いつも1冊だけ空いてるのが気になっていたのですが貴方だったんですね…。
ところで、続きは借りられないんですか?」
「えっ、いや、沖矢さんが住まわれてますんで…?」
掃除に来る必要も無くなってしまったし、ここに来る機会が全くと言っていいほど無い。
緊張からか回らない頭でしどろもどろ喋る。
こういう時人見知りは辛い。
「それなら全然大丈夫ですよ。
このシリーズは読んだことがありますし、この大きな家に1人は寂しいものでね。たまに来客があった方が助かります」
「……そうですか?」
沖矢が良いと言うのならば、と続きの本を手に取る。
なんだかんだ話の続きが気になっていたし、この人の事も気にはなる。
表紙を少し眺めてから本を鞄に仕舞っていると、沖矢がもし…と言葉を続けたので顔を沖矢に向ける。
「もし心配でしたら今日の様にお二方と一緒やコナン君と来ていただいても大丈夫ですよ」
「え?」
「分かりませんか?
1つ屋根の下、男女が2人…」
不敵な笑みを浮かべながら沖矢が近づいてきたので思わず後ずさったAの背が本棚に当たる。
「何かあったら大変でしょう?」
トン、とAの顔の横に片手を付いて顔を近づけられる。
そこでようやく貞操の危機を感じたAはドッと心拍数が上がり。目にも止まらぬ速さで手を付けられてない方にスライドして離れた。
(なんなのこの人……!)
*
ここまで読んでくれてありがとうございます。
文字数の都合上今回は次回予告は無いです。
では、続編へどうぞ!
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ふゆな(プロフ) - 初めまして!素敵な作品をありがとうございます。これからも頑張ってください👊🏻💗 (2022年5月4日 3時) (レス) id: 676d8245fd (このIDを非表示/違反報告)
momoryu(プロフ) - さちさんコメントありがとうございます!これからも定期的に更新していくのでよろしくお願いします! (2019年8月8日 14時) (レス) id: 0d68fcd700 (このIDを非表示/違反報告)
さち - すごくおもしろいです。続きが早く読みたいです。よろしくお願いします。 (2019年8月8日 14時) (レス) id: 02606fd336 (このIDを非表示/違反報告)
momoryu(プロフ) - ベルモットさんありがとうございます!初コメントで感動してます。これからもちまちま更新していくので見守っていただけたら嬉しいです。 (2019年6月24日 19時) (レス) id: 0d68fcd700 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 読みました。夢主人公が黒の組織絡みだったり、好みの小説でした (2019年6月24日 15時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:momoryu | 作成日時:2019年6月17日 10時