ある日 137 ページ41
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「FBIの件、前は断られてしまったが気分は変わったか?」
「いや、」
「君はまだ子供だからFBIである俺が見つけたからには保護対象なんだ。アメリカで証人保護プログラムを受けるだけでもいい」
「…」
「今は大丈夫なのかもしれないが今後組織が君に対してどう動くか分からない。そうなる前に早めに動くべきだ」
『公園の入口に1人、トイレに2人。車は少し離れた所に4台。デカいバンもあるからそん中に数人いるだろ』
何となく分かっていたが快斗からの報告メールと、説得するような赤井の話し方で色々察する。
……今回意地でも私を保護する気だな。
いざとなったら快斗に助けに来てもらおうと思って近くで待機してもらっているが。
……仕方ない。
「私には爆弾が埋め込まれているかもしれない」
「!!」
驚いて思わずこちらを振り返る赤井に、表情を読み取られないように少し俯く。
「裏切ったら命は無いって昔からジン達にきつく言われてる。
……だから私は組織を裏切る訳にはいかない」
先日明らかになった通り発信機だけと伝えても良かったがそれなら場所がバレようが何とかして発信機を取り外すと言われそうだったので嘘をつく。
ジン達にきつく言われていたのは本当なので嘘だとはバレないだろう。
これで分かったでしょ?
最後に赤井と目を合わせて微笑み、立ち上がる。が。
「待ってくれ」
腕を掴まれて動けなくなってしまった。
いつにもなく必死そうな赤井の表情に良心がズキリと痛む。
「ベルモットが日本で何か企んでます。
……そして動き出している。今まで以上に警戒しておいた方がいい」
「…」
「A〜!」
声のする方を見るとAと同じく帽子を深く被った快斗が遠くから手を振っていた。
どうやら助けにきてくれたようだ。
太陽の位置を計算して逆光で顔が見えないように立っている。流石快斗。
「……ごめんなさい。でも私は大丈夫なんで」
「だが……」
「なら、いつか。いつか私が困ってたら助けてください」
お願いします。
そう言うと緩くなった赤井に手を解いて快斗の所まで走る。
チラリと振り返ったが赤井は追いかけてきてはいなかった。
「…助かった」
「チョコアイスな」
「はいはい」
**
公園に取り残された赤井はスマホで近くにいる捜査官に撤退命令を出し、再度ベンチにもたれかかり大きくため息をつく。
「A……か」
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ふゆな(プロフ) - 初めまして!素敵な作品をありがとうございます。これからも頑張ってください👊🏻💗 (2022年5月4日 3時) (レス) id: 676d8245fd (このIDを非表示/違反報告)
momoryu(プロフ) - さちさんコメントありがとうございます!これからも定期的に更新していくのでよろしくお願いします! (2019年8月8日 14時) (レス) id: 0d68fcd700 (このIDを非表示/違反報告)
さち - すごくおもしろいです。続きが早く読みたいです。よろしくお願いします。 (2019年8月8日 14時) (レス) id: 02606fd336 (このIDを非表示/違反報告)
momoryu(プロフ) - ベルモットさんありがとうございます!初コメントで感動してます。これからもちまちま更新していくので見守っていただけたら嬉しいです。 (2019年6月24日 19時) (レス) id: 0d68fcd700 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 読みました。夢主人公が黒の組織絡みだったり、好みの小説でした (2019年6月24日 15時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:momoryu | 作成日時:2019年6月17日 10時