バスジャック 130 ページ34
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零の事だから事情を説明したらとてつもなく心配するに決まっている。そしてさっきの松田みたいに無茶した事を怒られるかもしれない。
電話帳を閉じ、メール画面の方を開いたがメールはメールで何を打てばいいか分からなくて指が止まる。
「今日あいつは仕事か?」
「うん、最近忙しいらしいし多分今日は帰ってこないと思う」
「……そうか」
私の返答を聞くなり少し考え込んだ松田は、ここで待ってろ、と頭をポンと撫でられテントから出て行った。
「Aお姉さん」
「…コナン君」
医療班の人も私の手当が終わり次第居なくなり、零に事件に巻き込まれて子供を庇い少し、ほんの少〜し怪我をした事をメールで送っているとコナンがひょっこり現れた。
隣に座るコナンの膝にガーゼが貼られているのを見つけたAの視線に気づいたのか、コナンはAさん程では無いよ、と足をプラプラさせながら微笑んだ。
「さっきの刑事さん知り合いなの?」
「…うん。ちょっと、ね」
「どういう関係?」
「ん〜……友達、かな」
すかさず松田について聞いてくるコナンに『普通』の刑事さんだよ、と伝える。
あの人には組織に巻き込まれて欲しくない。
どうやらバスに乗っていた他の人達は帰されたらしく、コナンは高木刑事という人の車に乗せてもらうため捜査が終わるのを待っているらしい。
2人でパタパタと忙しそうに行き交う警察の人達を眺める。
「……警察ってさ」
「?」
お互い無言だったが、暇になってしまったのでAからポツリと口を開く。
「かっこいいよね」
「…Aさんからそんな言葉を聞くとは思わなかったよ」
「ふふ」
仮にも、というか根っからの組織の人間だもんな私は。これを組織のメンバーの前で言うと洒落にならなそうだ。
「なんか、正義の味方!って感じしない?」
「人によると思うけどね」
「それもそうか。
……まあでも、私は好きかな」
遠くで警部さんに事情聴取の紙を渡して何か話し込んでいる松田を見て、目を細める。
この人達は、組織に関わらず日々日本の平和を守っていて欲しい。Aは心からそう思った。
「……Aさんってさ、組織の事……」
「コナン君お待たせ!」
コナンが何か言おうとした所で刑事さんがコナンを迎えに来た。この人が高木刑事さんだろうか。
「君も、もう少しで帰れると思うから」
「はい。コナン君、またね」
「うん、また…」
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ふゆな(プロフ) - 初めまして!素敵な作品をありがとうございます。これからも頑張ってください👊🏻💗 (2022年5月4日 3時) (レス) id: 676d8245fd (このIDを非表示/違反報告)
momoryu(プロフ) - さちさんコメントありがとうございます!これからも定期的に更新していくのでよろしくお願いします! (2019年8月8日 14時) (レス) id: 0d68fcd700 (このIDを非表示/違反報告)
さち - すごくおもしろいです。続きが早く読みたいです。よろしくお願いします。 (2019年8月8日 14時) (レス) id: 02606fd336 (このIDを非表示/違反報告)
momoryu(プロフ) - ベルモットさんありがとうございます!初コメントで感動してます。これからもちまちま更新していくので見守っていただけたら嬉しいです。 (2019年6月24日 19時) (レス) id: 0d68fcd700 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 読みました。夢主人公が黒の組織絡みだったり、好みの小説でした (2019年6月24日 15時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:momoryu | 作成日時:2019年6月17日 10時