おつかい 112 ページ16
.
「それで、いちいち家に帰るのもあれだから仕事が終わるまでここで待っててほしいんだけど大丈夫か?」
「うん。本持ってきてるからそれ読んどく」
「分かった、なるべく早く終わらせるよ」
そう言い零はAの頭をもうひと撫でして自分のデスクに戻っていった。
「……さてと」
零を見送り、Aは鞄から先日コナンに借りたシャーロックホームズの小説を取り出す。
成り行きで借りたものだが、コナンが薦めるだけあって結構面白い。
なので寝る前や、こういう外出先でちょっとずつ読み進めているのだ。
まあでも推理しながら読むってのは得意ではないのでただ単純に物語を楽しんでいるだけなのだが。
(数時間は待つ事になりそうだから今日の内に全部読み終えれるかな)
そう思ったAは、周りの話し声やタイピング音が聞こえない位集中して本を読み始めた。
**
「降谷さん」
「なんだ」
「……あれ」
内容の掴めない風見の言葉でパソコンの画面から視線を上げた零は、隣で困ったように目を向ける風見の視線の先を追った。
そこはAが座っているソファで、立ち上がって様子を見に行くと、Aは膝の上に開いたままの本を乗せ眠っていた。
「あー……最近忙しかったからな」
零は本をテーブルに避難させ、Aを抱き上げてソファに横たわらせる。
そして自分のジャケットを脱いで毛布代わりにAに掛けた。
「忙しい……と言いますと?」
零の言葉を追求してきた風見を横目でチラッと見る。
(……まあコイツになら話してもいいか)
「Aは俺の潜ってる組織の一員なんだ。なんか最近任務が大変らしくてな」
「Aさんがあの組織の一員……」
「まあ信用しているから心配ない。何か組織で動きがあったら知らせるようにしているしな。
もしかしたらAの方が俺より組織に詳しいかもしれん。心強いよ」
すやすやと眠っているAの髪を撫で、さっきまで読んでいたであろう本を手に取る。
(シャーロックホームズ……こんなの読み始めたのか?)
そういえばAが家で本を読んでいるところはあまり見ない。
部屋の本棚は漫画ばかりだったし、大体Aはスマホを煽っているかパソコンで何か作業していることが多い。
たまにはこういうのも読むのか……と思いつつ本を机の上に置いて零はデスクに戻った。
127人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ふゆな(プロフ) - 初めまして!素敵な作品をありがとうございます。これからも頑張ってください👊🏻💗 (2022年5月4日 3時) (レス) id: 676d8245fd (このIDを非表示/違反報告)
momoryu(プロフ) - さちさんコメントありがとうございます!これからも定期的に更新していくのでよろしくお願いします! (2019年8月8日 14時) (レス) id: 0d68fcd700 (このIDを非表示/違反報告)
さち - すごくおもしろいです。続きが早く読みたいです。よろしくお願いします。 (2019年8月8日 14時) (レス) id: 02606fd336 (このIDを非表示/違反報告)
momoryu(プロフ) - ベルモットさんありがとうございます!初コメントで感動してます。これからもちまちま更新していくので見守っていただけたら嬉しいです。 (2019年6月24日 19時) (レス) id: 0d68fcd700 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 読みました。夢主人公が黒の組織絡みだったり、好みの小説でした (2019年6月24日 15時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:momoryu | 作成日時:2019年6月17日 10時