おつかい 111 ページ15
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思わずAはチラッと風見が戻ってきてない事を確認して写真を手に取る。
「……これって」
写真にはAが写っていた。遠くを眺めていて背景は海。
これがいつ撮られたものか、Aはすぐに思い出した。
(私が死のうとした日……零に海に連れられて行った時……そういえば)
撮られていたなあ。
現像にするほどか?と思ったが、風見が戻ってきたので写真を綺麗に元の場所に戻す。
(……これは見なかった事にしよう)
「もうすぐ会議も終わると思うので、こちらへどうぞ」
「あ、ありがとうございます」
部屋の隅っこに来客用のであろうテーブルとソファーが2つあったのでそこに案内され、座る。
そして風見が入れてくれた熱々のお茶を少しずつすする。
それからというものお互いに話すこともなくただ黙々とお茶をすすり、コップの半分位までお茶が減った時。
扉の向こうからガヤガヤとした話し声と足音が沢山聞こえてきて、扉が開いた。
ぞろぞろと人が入ってくるが、やはり公安という部署ということもありほとんどが男の人だった。
そんな中、特徴的な髪の色をした零はすぐに見つけられ、お互いに目が合うとすぐに零が近寄ってきた。
「待たせたな。
おいおまえら、紹介するからよく聞け。俺の協力者のAAだ。
普通なら協力者のことは誰にも知らされない事になっているがAについてはいずれここのお世話になるだろうからな。
俺のだから手は出すなよ」
「えっと、よろしくお願いします…?」
ナチュラルに自分のもの宣言をされ、戸惑いつつも挨拶すると皆が集まってきて質問攻めにされた。
Aが聞き取れた限り、全ての質問がどうでもいいような事ばかりだったが。
その質問攻めも、零の威圧ですぐに収まり、みんな自分のデスクに戻って作業をしだした。
それを見届けた零は、ため息をついて小声でAに話しかける。
「書類持ってきてくれて助かったよ、ありがとう。
近々別の組織を潰すことになってな、それが終わるまではしばらく帰るのが遅くなりそうなんだ。
まあ俺たちのいる組織よりは小さいが……」
「分かった。私は大丈夫」
「その代わり今日は晩ご飯を何処かに食べに行こうか」
「えっ行く!いいの?」
嬉しくて思わず声を上げてしまうと、零は笑って頭を撫でてくれた。
外食なんていつぶりだろうか。零の手作りご飯も食べたかったが、疲れているだろうし何より一緒に食べれるってだけでAは嬉しかった。
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ふゆな(プロフ) - 初めまして!素敵な作品をありがとうございます。これからも頑張ってください👊🏻💗 (2022年5月4日 3時) (レス) id: 676d8245fd (このIDを非表示/違反報告)
momoryu(プロフ) - さちさんコメントありがとうございます!これからも定期的に更新していくのでよろしくお願いします! (2019年8月8日 14時) (レス) id: 0d68fcd700 (このIDを非表示/違反報告)
さち - すごくおもしろいです。続きが早く読みたいです。よろしくお願いします。 (2019年8月8日 14時) (レス) id: 02606fd336 (このIDを非表示/違反報告)
momoryu(プロフ) - ベルモットさんありがとうございます!初コメントで感動してます。これからもちまちま更新していくので見守っていただけたら嬉しいです。 (2019年6月24日 19時) (レス) id: 0d68fcd700 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 読みました。夢主人公が黒の組織絡みだったり、好みの小説でした (2019年6月24日 15時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:momoryu | 作成日時:2019年6月17日 10時