ベルモット 117 ページ21
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ジンに誘導され、丸いテーブル席に座るとジンとウォッカも座った。
それからジンはウエイターに何か注文をし、ジンとウォッカにはお酒、アイラにはオレンジジュースが来た。
(……なんだろう、私凄い浮いてる気がする)
オシャレなグラスに入れられたお酒とは違い、普通のコップに入れられた鮮やかなオレンジ色のジュースでさえとても浮いているのに、大人達しかいないこの場にいる為、アイラはとても気まずくなった。
気を落ち着けようとジュースをちびちび飲むこと数分。1人の男が同じテーブルに座った。
アイラの知らない人だ。
「……遅いぞ」
「すまんすまん。ところでこのお嬢さんは?」
「気にするな」
挨拶でもした方がいいのかと思いジンを見るが「黙ってろ」と目で言われたので口を噤む。
これは自分が来た意味あったのだろうかと疑問に思いつつアイラは大人しくする。
それからの会話の内容を聞くにどうやら取り引きをしているらしい。
男がジンに札束が入っているであろう封筒を渡すと、中身も確認せずにジンは違う封筒を渡した。
(こっちは……USBか?)
ジュースを飲みつつアイラはやり取りを眺める。この男の人は一体何者なのだろうか。
男はジンから受け取った封筒の中身をちゃんと確認し、お酒すら飲まずに去っていった。
それから数分。誰も一言も喋らず、ちびちび飲んでたアイラのジュースがもう少しで無くなってしまう、という所でようやく口を開いたのはウォッカだった。
「いつ聞いても痺れる声ですぜ」
誰が、とは聞かずともアイラはお店に入った時からずっと歌っているあの歌姫の事だとすぐに分かった。
今更かよ、と思いつつもジンが何も反応を示さないので自分が何か返事をした方が良いのだろうかと考え始めたその時。
アイラ達のテーブルに1人のウエイターがやってきた。
「ドライマティーニです、そちらのお嬢さんにはこのパフェを」
そう言いながらウエイターがアイラの目の前にチョコアイスの乗った小さいパフェを置いた。
「こんなもの頼んでませんぜ?」
「あちらの歌姫から3人にと……」
(あの女の人が?)
それを聞いたウォッカは感心したのはヒューっと口笛を吹いた。機嫌がいいらしい。
なら遠慮なく頂こう。そう思いスプーンをパフェに刺そうとした瞬間。
「あっ」
ジュッという音と共に目の前のパフェに吸いかけの煙草が突き刺さった。
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ふゆな(プロフ) - 初めまして!素敵な作品をありがとうございます。これからも頑張ってください👊🏻💗 (2022年5月4日 3時) (レス) id: 676d8245fd (このIDを非表示/違反報告)
momoryu(プロフ) - さちさんコメントありがとうございます!これからも定期的に更新していくのでよろしくお願いします! (2019年8月8日 14時) (レス) id: 0d68fcd700 (このIDを非表示/違反報告)
さち - すごくおもしろいです。続きが早く読みたいです。よろしくお願いします。 (2019年8月8日 14時) (レス) id: 02606fd336 (このIDを非表示/違反報告)
momoryu(プロフ) - ベルモットさんありがとうございます!初コメントで感動してます。これからもちまちま更新していくので見守っていただけたら嬉しいです。 (2019年6月24日 19時) (レス) id: 0d68fcd700 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 読みました。夢主人公が黒の組織絡みだったり、好みの小説でした (2019年6月24日 15時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:momoryu | 作成日時:2019年6月17日 10時