はじまり 7 ページ8
(……ん?)
音のした方を向くとバーボンがスマホをこちらに向けていた。
「あぁ、凄いあなたと海が絵になっていたので」
だからと言って撮っていいものなのか。盗撮だぞ、と若干機嫌を損ねてるのもつゆ知らず、いやこの人は気づいてるけど無視してるかもしれないと思ってると、
「どっちがいいですか?」
バーボンはスマホを仕舞って隣に座り、缶コーヒーと缶ジュースを見せてきた。
どうやら近くの自動販売機に行っていたらしい。
「こっち」
アイラは迷わず炭酸ジュースを手に取る。
「コーヒーは嫌いですか?」
「嫌いっていうか……飲めない」
アイラはカフェオレが特に好きで良く飲んでいたが、いつしか飲む度に胃もたれがしだしたのでコーヒー類は飲めなくなってしまった。
バーボンが缶コーヒーを開けたのを見て、アイラもジュースをプシュッと開ける。
「そろそろ決まりました?」
「えっと……」
バーボンが真剣な顔でアイラをじっと見つめる。
だけどアイラの目線は海だ。
「……あげる。人生」
(一回捨てようとしたこの命、くれてやろうじゃないか。
ここまできたらヤケクソだ。どうにでもなればいい)
しかし反応が無いので心配になりバーボンの方を見ようとすると思いっきり抱き着かれ、慌てて缶ジュースがこぼれそうになるのを防ぐ。
「っうわ、」
「ありがとう……」
少し震えた声でバーボンが囁く。
それに答えるようにアイラは行き場の失った手を恐る恐るバーボンの背中に回す。
(あったかい……)
久しぶりに人肌に触れた気がする。
ギュッと抱きしめるバーボン、ぎこちなく背中に手を回すアイラ、二人とも同じ事を考えていた。
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momoryu(プロフ) - さちさん、コメントありがとうございます!ちまちま頑張って続けていくのでよろしくお願いします。 (2019年8月8日 6時) (レス) id: 0d68fcd700 (このIDを非表示/違反報告)
さち - すごくおもしろいです。続編も期待大です。よろしくお願いします。 (2019年8月8日 3時) (レス) id: 02606fd336 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:momoryu | 作成日時:2018年11月7日 9時