家族 43 ページ44
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「……ごめんね、せっかく会えたのに」
「Aが謝る事ねーよ。
今日、あの場所を通ってくれて、俺に偶然会えて、俺の事を思い出してくれただけで、も〜十分だぜ」
だから余計な事考えんな、と頬をツンツンしてくる快斗にまた涙が溢れてくる。
「あーあー、変わんねーなAは。昔っから泣き虫」
頬をつついてた指が、今度は両手でAの頬をの引っ張る。
「はは、不細工」
「う〜〜〜」
「……A?それと君は誰だ?」
電話の時より一回り低い声が聞こえ2人でそちらを向くと、いつの間に来たのか眉を顰め怖い顔をした零が立っていた。
「この人?」
頬を引っ張るのを止めた快斗が聞いてきたのでAは頷く。
すると快斗はいつも以上に怖い顔をしているであろう零をお構いなしにへぇ〜〜とジロジロ眺めた後、ニッコリと笑った。
「ドーモ初めまして。
Aの“兄”の黒羽快斗です。
Aがいつもお世話になってます」
「兄……?どういうことだ、A」
快斗があえて“兄”を強調して言ったのでそのせいで余計に顔が怖くなった零の視線がAに向く。
Aはどうしようかとその視線から逃げるように横にいる快斗を見ると、背中をポンポンと優しく叩かれ『頑張れ』と目で言われた。
(空気悪くしたのは快斗じゃんか……)
少し腑に落ちないが説明するしか他は無い。
Aは零を説得するように事情を説明しだした。
「あのね、今日家族の事を思い出したの。
偶然実の兄に会って……ね」
「思い違い……ではないのか?」
「それは無い!絶対に」
「根拠はあるのか?」
「それは……。
私と快斗は双子だから?そこら辺は何故か何となく……分かる」
「双子……?
確かに似てるか……?」
零は数歩下がって遠巻きに2人をジロジロとみる。
そして納得したのかオホン、と咳払いをした。
「快斗くん、だったかな。
初めまして、降谷零です。僕の事はAから聞いてるのかな?」
「はい!そりゃもーたくさん!!
惚気話を死ぬほど聞かされましたよ!」
「はは、それは嬉しいな。
良ければ今度、Aの小さい頃の話とか聞かせてくれ」
「勿論!写真もいっぱいあるんで!」
(これは意気投合してる……ってことでいいのかな?)
良かった、とAは心の底からホッとした。
自分の大切な人同士が仲良くしてくれるなんて、こんなに嬉しいことは無い。
あまり恥ずかしい話を掘り起こさないで欲しいが。
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momoryu(プロフ) - さちさん、コメントありがとうございます!ちまちま頑張って続けていくのでよろしくお願いします。 (2019年8月8日 6時) (レス) id: 0d68fcd700 (このIDを非表示/違反報告)
さち - すごくおもしろいです。続編も期待大です。よろしくお願いします。 (2019年8月8日 3時) (レス) id: 02606fd336 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:momoryu | 作成日時:2018年11月7日 9時