熱 ２７ ページ28
零はかわいいなと思いつつ謝ったら、Aは上半身を起こして目を泳がせながら苦笑いをした。
(やらかした……！)
人生で最大とも言える恥を見せてしまったAは数時間前の自分に後悔をした。
そして熱は恐ろしいという事を身に染みて感じた。
「とりあえず、リンゴ剥いてやるから一旦起きよう。
A、おにぎり一つしか食べてないだろ」
「う、うん」
キッチンでリンゴの皮をひたすら剥く零をカウンター越しにぼーっと眺める。
(こうやって看病してくれたことって今までにあったっけ……)
「僕はお風呂に入ってくるから、食べておいて」
ぼーっとしてる間に全て綺麗に切られたリンゴを零は皿に入れ、Aに手渡すと、洗面所に入っていった。
(引かれてないかな……)
Aはリンゴを食べながら先程のことについてずっと心配していた。
まさかAとしたことがあんな失態を犯してしまうなんて。
これで良く協力者が務まるな。……的な。
Aは体が弱いため今までにも良く熱を出していたが、なんせ零みたいに一緒に住んでる人なんていなかったので回復するまでずーーっと布団に潜って耐えていた。
しかし零と住み始めてから明らかに自分は甘え過ぎている。
それはAでも気がついていた。
(いつか零がいないと何も出来ないダメ人間になりそう)
ってかもうなってるかも。
ん？もしかしてあの人はこれが狙いなんじゃ……と思ったところで考えるのをやめる。
零が自分を拾ったんだし零の思うがままにされてもいいじゃないか。
嫌われたらその時はその時で………死のう。ウン。
一人で謎の納得をしてリンゴを食べきると丁度いいタイミングで零がお風呂から上がってきた。
「明日になっても熱が下がらなかったら病院行こうか」
「うん」
「さ、Aはもう寝ておけ、僕はまだ仕事があるから」
「……」
寝るという言葉にAは反応して寂しげにぬいぐるみを抱きしめる。
(また一人になるのか……。お昼の時みたいに気分が落ちなきゃいいけど)
(なんだこの可愛さ……)
昼の事を思い出し、泣きそうになるAとは裏腹に零はAのこの可愛さに緩みそうになる頬を必死に抑えていた。
「……僕の、ベットで寝るか？」
可愛くて震えそうになる声までもなんとか抑え、そう聞くとAは恥ずかしそうに俯いたままこくりと頷いた。
「さ、おやすみ」
「……おやすみ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 137人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
momoryu(プロフ) - さちさん、コメントありがとうございます！ちまちま頑張って続けていくのでよろしくお願いします。 (2019年8月8日 6時) (
レス) id: 0d68fcd700 (このIDを非表示/違反報告)
さち - すごくおもしろいです。続編も期待大です。よろしくお願いします。 (2019年8月8日 3時) (レス) id: 02606fd336 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：momoryu | 作成日時：2018年11月7日 9時
