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デート 23 ページ24

そう思った瞬間、涙が溢れ出した。

まだ同居を始めて一週間しか経ってないのに、Aは大分零に依存してしまってるみたいだった。

出そうになる嗚咽をひたすら我慢しながら鞄を握るAを見て、零はため息をついて抱き寄せた。


「……怒らないから泣くな」

「っ………う〜〜〜………」


声を上げて泣きそうになったAは、ぽんぽんと頭を撫でる零に顔を埋めて抱きしめる。

(嫌われたくないのはお互い様だったか……)

ぐりぐりと頭をお腹に押し付けて泣き続けるAを見て、零は怒るのを止めた。
怒らなくとも十分僕の言いたい事は分かるだろう、そう思い声を殺して泣くAの背中をさする。


「帰ろうか」


今までで一番強く零を抱きしめているAにそう言うと、涙でぐしゃぐしゃになった顔を擦りながらゆっくりと離れた。

抱き着いて泣かれたせいでお腹周りが涙で濡れている零は服の事よりも、擦って目元が赤くなったAの方が心配だった。


「こら、擦らないの」


これじゃあ明日は目が腫れてるだろうな、と思いつつ零はハンカチで涙を拭いてやる。

ひっく、とたまになっているが大分落ち着いてきたAの手を引いて、なるべく人気が無い場所を通り無事駐車場に止めてある車に戻った。


「左手出して」


車を出す前に零がそう言うと、いきなりで戸惑っているAに「早く」と追い打ちをかけるとしぶしぶと左手が差し出された。


「はいこれ」

「……!」


零によって、Aに左手の人差し指に先程買った星の指輪がはめられた。
実は内緒でAと合流する前に指輪を取りに行ってたのだ。
驚いて顔を上げたAに、零は嬉しそうに自分も同じところに付けた月の指輪を見せた。


「お揃い、だな」


お揃い、それが嬉しくてAの頬が緩む。
目を輝かせながら自分がはめている指輪を眺めているAの左手を、零は取り、両手で包み込む。


「僕は絶対に君を嫌いになったりはしない。何があってもね」


だから安心しろ。そう言うとせっかく止まってたAの目からまた涙がこぼれ出した。


「はは、本当にAは泣き虫だな」

「ゔ、だって……!」



こうして二人の長い休日は幕を閉じた。









*左手人差し指の指輪の意味*


「積極性を高める」
「自分を見つめてほしい」

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momoryu(プロフ) - さちさん、コメントありがとうございます!ちまちま頑張って続けていくのでよろしくお願いします。 (2019年8月8日 6時) (レス) id: 0d68fcd700 (このIDを非表示/違反報告)
さち - すごくおもしろいです。続編も期待大です。よろしくお願いします。 (2019年8月8日 3時) (レス) id: 02606fd336 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:momoryu | 作成日時:2018年11月7日 9時

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