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17話 ページ17

「私は大丈夫」

もう一度両頬を二度叩いて気合を入れ直す。

「先生、ありがとうございました」

教室から出て行こうとした時先生にお礼を言うと佐賀美先生が「無理すんなよ」とこちらの目を見ないで何か資料を見ながら言っている。

「…ありがとうございます」

なぜか泣き出しそうな心の中を止めて、顔を上にあげる。 涙があふれだすのを防ぐために。


教室を出て廊下を一人で歩く。

放課中だからなのかたくさんの人の声が聞こえている。

心地良い声が溢れているのだけれど、これから光くんと会った時にどんな顔をしたらいいのか、どういう言葉をかければいいのか私は頭を悩ませていた。

一度無視してしまったことに時間が経てば経つ程罪悪感が生まれてくる。

「はああああ…。私、なんであんなことしちゃったんだろ…」

B組の前を通りたくなくて、教室から見えない辺りで、思わず座り込んで頭を抱えたくなる。

「…A」

「え…?」

顔をあげると、何か思う前に誰かに抱きしめられる感覚がする。

大好きな匂い、撒き散らしているパン。

私が好きだと言ったパンばかり。

「なんで光くんが…」

「なんで…。無視、するんだぜ…」

「ごめん…」

ごめん、しか言葉が出てこない。光くんは何も言わないまま私をさらに強く抱きしめていた。

「私、どうしたらいいか分かんないよ…。私、光くんの笑顔大好きなの、なのに…、それを壊すようなことばっかり…。ほんとごめんなさい…」

パンッと自分の頬が叩かれる。

「え」という声と共に光くんと目が合う。

私が泣いてるからなのか視界があやふやの中分かる、光くんも同じように泣いてる。

「なんで泣いてるの…」

「A、笑って…?」

「光くんも、笑って…。光くんが笑ってくれないと私も笑えないよ…」

「俺も、なんだぜ…。Aが笑ってくれないと俺も笑えないんだぜ…」

「ふふっ、一緒、だね、私達…」

「A、笑った」

「光くんも笑ってる」

光くんが私の頬をむにーって引っ張ったりぷにぷにしたりしている。

「なにしてんの」

私がそう尋ねると光くんは笑っていた。

そんな私はこんな時間が幸せだなって思った。

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あいらいす(プロフ) - コメント失礼します!わたしはみつる推しなのですが、なかなかメインのモノがなく…こちらやっと見つけて読ませていただいたのですがとてもキュンキュンしました(*´-`*)めちゃくちゃ感動してます…!続き楽しみにしてます!頑張ってください☆ (2016年5月7日 23時) (レス) id: 143028f12a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:柚日 | 作成日時:2016年4月23日 0時

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