舞い上がる【鬼滅の刃】2

72 ページ23

しばらく泣いていたAは
泣きつかれたこともあり、
宇髄の腕の中で寝ていた。


宇『…いい顔してんな』

腕の中で寝ているAを
優しい表情で見守る。

不『…今日のところは休ませてやるかァ』

義『まだ、初代巫女について
　 調べがついていないからな』

煉『それはまた明日にして、
　 近くの宿でも探してこよう』

小『今日非番は誰だ』

その問いかけに手を挙げたのは
冨岡と、時透だった。

悲『では二人にAを託すとしよう
　 我々は任務に向かうとし、
　 明日またここで集合するとしよう』


悲鳴嶼の言葉に
全員が頷くと各々任務の方へと
旅立っていった。


不死川は最後、
背中を向けて二人を睨みつける。


不『…絶対変なことすんなよォ』

そう呟くと、足早に去っていった。



義『宿を探してくる』


一言呟いた冨岡は、
街の方へと走っていった。


二人残された時透は、
Aを抱き上げて同じく街の方へと
極力揺らさないよう走って行く


時『…可愛い顔』


街は走りながらもAの寝顔をジッと見る。
どこか幸せそうに寝ている。


時『死んだかと思った』


ポツリと呟く。
久々に感じた、人の死への思い。


ゆっくりと走っていたからか、
宿が決まった冨岡が帰ってくる。


時『部屋、空いてた？』


義『ああ、一部屋だけ借りて来た』


時『…え？』

義『…？』



時『一部屋？３人で寝るの？』



義『何か問題あったか』



時『…多分怒られると思うけど』


義『…なぜだ』


時『まぁ、いいや、皆には3部屋って
　 言ってよね』


冨岡と共に宿へと向かい、
部屋の中へと入って行く。


時『布団、二枚しか敷いてないけど？』


2枚の布団がくっついて敷かれていた。


義『この状態のAを1人離して
　 眠らせるわけにはいかないだろう』

時『いや、布団は3枚でも良かったんだけど』

義『ならば俺とAは一枚でいい』

時『いや、僕とAの間違いでしょ？』

はぁ、とため息を吐きながら
真ん中へとAを寝かせる。


義『寝衣はどうする』

時『脱がせるわけにはいかないから、
　 とりあえず汗だけでも拭いてあげよう』


わかった、と手拭いを湿らせに行く冨岡。


時『2人きりなら喜んで脱がせるけどね』

Aの髪を撫でながらにっこりと微笑む。



義『湿らせてきた』


一枚の手拭いを
手渡すと首を傾げる。


義『…どこまで拭ける』


時『…手足、だけかな』

73→←71

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す