舞い上がる【鬼滅の刃】2

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その日の夜は、
あまり眠れなかった。

また、寝たらあの夢の中に
いるんじゃないかと思って。

また、呪われた子って言われる。
そう思うと目を閉じてても
眠りにつくことができなかった。


私は、隣にいてくれた無一郎くんと
煉獄さんの間から音を立てずに
布団から出た。

今日は、とても月が綺麗。


縁側に腰掛けると、
ボーッと月を見上げる。


石に問いかける。

「みんな、無事？」


(あぁ、全員無事だよ)


良かった、無事で。


もし、明日、真が鬼になっていたらどうしよう。
私の舞でも、全員で勝てるかわからない相手。


みんなはどんな気持ちで今過ごしてる？

もしかしたら、明日死ぬかもしれない。
私に会わずにいたら、
こんな危険に合わせずに済んだかもしれない。
誰かは、会わなければ良かったと
思ってるかもしれない。


私は、真に恨まれている。
だから、明日出会ったら死ぬかもしれない。

そんなことを考えていたら、
自然と瞳から涙が溢れていた。


煉『…月夜に照らされる涙は、
　 少し美しく見えてしまうな』

時『Aなら何でもそう見えるよね』


不意に聞こえた声と共に、
両隣に二人が座る。


私は驚いて、涙を両手で慌てて拭う。

「起こしちゃったの？ごめんね？」


時『しょうがないよ。僕らはどんな物音でも
　 起きちゃうんだからさ』


煉『それより、何故泣いていたのだ？』


「んーん、何でもない」


時『何でもない訳ないでしょ』


無一郎くんに頭をコツンと叩かれる。


「んー…なんか、私の家系のせいで
　明日みんなが死ぬかもしれないとか
　いーっぱい考えてたの」

煉『…そうか！それは無駄な心配だな』


「…え？」


時『僕たちは毎日明日死ぬかもしれないと
　 思いながら任務に行ってるんだよ？』


煉『その通りだ。明日のせいで特別に命を
　 落とすと考えている訳ではない』


「でも…」


煉『それに、Aと出会ってから
　 毎日がとても楽しく思う。

　 だが、Aに出会えていなかったとしたら』


時『…その楽しい毎日を知らずに、
　 任務で死んでたかもしれないね』


二人が言いたいことがわかってしまった。
私は、拭ったはずの涙が止まらず、
思わず両手で顔を隠して俯く。


煉『…Aに出会えて良かったと
　 心の底から強く思う。』

時『必ず、僕達が守ってあげる』


二人が背中に手を当ててくれた。
その背中の温もりが、
とても熱く感じた。

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