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なぜか、強い不安に襲われた。
私は目に涙を浮かべながら、
煉獄さんから石を受け取る。
「ど、どうしよう…」
し『代わりのものはありますか?』
「これしかないの…すごい、不安、悲しい…」
ぎゅっと石を抱きしめながら
呟く。不安がさらに増してきた。
煉『Aが住んでいた家には、ないのだろうか』
家…?
「あ…ある、かも…」
昔、母親から二つ同じ石を貰った。
それを巾着の中に入れてどこかに
しまった記憶がある。
でも、家に行くのには勇気がいる。
あの惨劇が脳裏に蘇る。
煉『大丈夫、俺が行こう!』
私の気持ちを汲み取ってくれたのだろう、
笑顔で欲しかった言葉が耳に入る。
でも、このまま目を逸らしてていいの?
強くならなきゃいけないのに。
みんなを守るのに、守られてばっかりじゃ…。
「…私も、行く」
その言葉に2人が驚いたように私の顔を見る。
後悔は、しない。
し『…しかし、Aさん…』
「大丈夫、私も強くなる」
煉『…そうか、わかった。
共に行こう、A』
大好きな大きくて暖かい手が
私の頭を撫でる。
時『…どこ行くの?』
聞き慣れた声に視線が集まる。
煉『時透!Aの石が割れてしまってな。
それを住んでいた所まで一緒に
取りに行くことにした!』
時『へぇ、じゃあ僕も行くよ』
「えっ、大丈夫だよ、みんな忙しいのに…」
時『なにそれ、僕がいたら嫌だ?』
「ち、違くて…」
し『まぁまぁ、Aさん。
ここは1人でも多い方が安心しますよ』
しのぶちゃんに背中を摩られて
うーんと考える。
正直巾着がどこにあるのかを
覚えていない。
たしかに人数が多い方が、
早く見つかるかな…。
「じゃあ…お願い、します」
私は2人に頭を深々と下げる。
煉『頭を下げることはない』
時『そうだよ、僕達は勝手に行くだけ、ね?』
2人の言葉に頭を上げると
笑顔で頷く。
煉『では、陽が落ちる前に行くとしよう!』
時『はい、じゃあAは僕に掴まって?』
私は言われた通り無一郎くんに掴まる。
し『大丈夫だとは思いますが、
お気をつけて行ってきてくださいね』
はーい、とのんびりと返事をすると、
無一郎くんが私を抱き上げ
走っていく。
この時は、あんな惨劇が起きるとは
思いもしなかった。
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作者名:momopara427 | 作成日時:2022年4月14日 10時