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「ひっ…!」


ゆっくりと針が刺さる。
その瞬間Aが跳ねた。


煉『A!大丈夫だ、落ち着くんだ』

「あ、あっ…いた、い…!」


涙をボロボロと溢れさせている
その表情に俺は見飽きることなく見つめた。

宇『甘味処、行きてぇよな?』

俺は前回と違い、余裕があったから
少しばかり遊んでみようと思った。


「いっ、いきたい、っ…!」


煉『(宇髄…!)』


宇『ほら、煉獄にもお願いしてみろ』


「煉獄さっ、いきたい、っ…!
 お願いっ、いきたいのっ…!」


煉『…全!集!中!!!
  (下半身への血の巡りを遅くする!!)


宇『くくっ…』


俺は煉獄の様子に耐えかねて笑いを漏らす。


し『はい、終わりましたよ。
  宇髄さん、後で新しい毒の実験台に
  なってくださいね』


宇『おー、それは丁寧にお断りするぜ』


ケラケラと笑いながら
放心状態のAの頭を撫でる。


宇『よく頑張ったな』


「う、ずいさ…」


煉獄にもたれ掛かりながら
呼吸を整えるA。


煉獄を見ると目を閉じて
呼吸を整えていた。


宇『…煉獄、お前にも甘味処で
  なんか食べさせてやっから』


煉『うむ!ありがたく頂こう!』

俺の言葉に目を見開いたその姿は
なぜか後ろに獅子が見えた気がする。



ようやく落ち着いてきたAが
椅子に座りながらお茶を啜る。


宇『さっきはなんで治癒が発動したんだ?』

煉『発動する前に石を触っていたな』


「石はよく触るけど、何も起こったことないよ?」


し『では、それが発動条件というわけでは
  ないようですね』



宇『何かがあるはずなんだよなー』

全員が原因を探ったが、
その日は何もわからなかった。



し『そういえば痣はどうですか?』


「自分じゃよく見えなくて…
 煉獄さん見てくれる?」


Aが自身で髪を持ち上げる。



宇『…ん?』

煉『痣が…増えている?』


薄らだが、桜の花びらの痣が
もう一枚増えていた。


宇『この痣が関係するのか?』


煉『だが、以前あったやつより遥かに薄い』


し『…これが増えると何が起きるのでしょうね』


「身体は何も変化ない、かな」


宇『とりあえず、また全員に報告するか』


そうですね、と胡蝶と手分けをして
全員に文を出していく。



「落ち着いたからそろそろ、…」


俺は期待の眼差しに笑みを漏らした。



宇『はいよ、甘味処な』





煉『みたらしは何本までだろうか』


その後ろの期待の眼差しは
見ないでおいた。

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作者名:momopara427 | 作成日時:2022年4月14日 10時

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