舞い上がる【鬼滅の刃】 (ページ24)

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山の中に入るとごく普通の家が
一軒あった

あの時の酷さがわかる
古びた血液がそこら中にあった

見当違いか、と思ったが
奥の壁から隙間風が吹く

明らかに行き止まりのはずだ

その壁に耳を当ててみる
…詰まりがない、空洞だ
部屋がもう一つある

確信した俺はその壁を突き破る

やはりそこは部屋だった

中には床に描かれた大きな紋章
蝋燭が溶けた後
舞に使ったであろう扇子

横の棚には写真があった

そこに映る幼い顔は
見間違えることはない、Aだ

義『これを見ろ』

冨岡が棚に置いてあった扇子を取り出す。

扇子の先についているもの
それはAがいつもつけている
髪を結っている紐だ
先には薄い青い石がある

なんかわからねぇがこの石、
絶対助けになるはずだと直感した

義『書斎に一つだけ古びた本があった
　多分巫女の事だろう
　巫女は死ぬ間際に強い怨を残すらしい
　きっと鬼に対して強い怨を持って
　死んだはずだ
　それがAの助けになるかもしれない』

それは一理ある。この家にあった写真
どれもももこ1人しかいない
ももこから兄弟の話を聞いたこともない
多分子供1人だ
その子供が1人で逃げれたのは
何かがあったんだろう

宇『だがよ…Aは巫女じゃねえんだろ？
　なぜAを攫う必要がある。』

義『胡蝶が言っていた血液のことが
　関係しているのだろう。
　この書物を読まない限りはわからない。
　お館様に一度報告に向かう』

俺はAと家族が映った写真を手に取り、
冨岡と共にお館様の所へ戻っていった。

産『そう…そうか…！』

俺たちの報告したことに
お館様は興奮したように立ち上がった。

宇『お館様は巫女の存在をご存知のようで』

産『今すぐ全員を集めてくれないか』

その言葉の後すぐに柱全員が集まった。

不『お館様、Aの話とは』

産『うん、まずは巫女について話をするよ。
　巫女は、歴代の鬼に関する書物に
　数行しか書かれていないんだ。
　ただ、そこには鬼の抹殺するには
　必要不可欠と書いてある』

宇『Aがいた山の麓の街の爺さんたちが
　巫女が死んだら災いが起きると
　言っていました』

産『そう。その通りなんだ。
　巫女は舞を踊ることで鬼の力を制御する。
　札で囲まれた場所に鬼が入ると
　鬼は本来の力を発揮することができない。』